「そのころのわたしにとって人間原理は、無内容で非生産的な、宗教的な願望にまみれたトートロジーのように思われたのである。----人間が現に存在しているこの宇宙が、人間が存在できるような宇宙だからといって、だからどうだというのだろう?」(新書版p.5) 宇宙は観測者たる人間の存在を許容するものでなければならない。「強い人間原理」と呼ばれる主張は、果たして無意味なトートロジーなのか、それとも万物理論の存在を揺るがす新しい宇宙観なのか。ポピュラー・サイエンス本の翻訳で名高い著者が、人間原理が持つ意義を平易に解説。新書版(講談社)出版は、2013年07月です。 提唱直後、激しく拒絶された「強い人間原理」。しかし、私たちの宇宙観が大きく変わりつつある現在、それを受け入れる科学者が増えているといいます。なぜなのでしょうか。 本書は、コペルニクスに始まる宇宙観の変遷を辿りながら、人間原理がどのようにして登