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ブックマーク / natrom.hatenablog.com (122)

  • 内閣府チームによる研究開発プログラムの一つがニセ科学だった - NATROMのブログ

    内閣府チームによる研究開発プログラムにおいて科学的手法に問題があったことが日経済新聞のサイトに掲載された(日経産業新聞4月12日付)。 ■内閣府チーム、仮説段階の研究を表彰  :日経済新聞 「このコンテストから新しい企業の研究の種を育てたい」。ImPACTの山川義徳プログラムマネージャー(PM)は2月、都内のシンポジウムで力を込めた。壇上に上がった新田ゼラチンや日アロマ環境協会などの代表者に賞状を送り成果をたたえた。 コンテストの狙いは脳の健康に効果のありそうなべ物や生活習慣などを見つけることだ。企業などからアイデアを募り、山川PMらが開発した脳活動の指標をもとに、アイデアを試した時の脳の変化を測る。脳の健康に効果のありそうなものを表彰するという内容だ。今回が2回目でコラーゲンペプチドの摂取、ラベンダーのアロマハンドマッサージが表彰された。 山川PMらは1月には、製菓大手の明治と高

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  • 林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリスト(2016年2月19日) - NATROMのブログ

    福島の小児甲状腺がん検診において「早期発見・治療が効果をあげていると考えられる」*1と仰られましたが、その「効果」は何をアウトカムとして評価していますか? がん検診の効果を「5年生存率や10年生存率」「診断されたがん全体における早期発見されたがんの割合」で測ってはならないというのは言うまでもありません。一般的には、がん死をアウトカムとして評価します。甲状腺がんの場合は、がん死が生じにくいゆえに多臓器転移や甲状腺全摘術が代理指標の候補となりますが、私の知る限りでは福島の小児甲状腺がん検診が、これらのアウトカムを減らしたという証拠はありません。そこで、林衛さんが何をもって「効果をあげている」とおっしゃったのか、確認したいのです。 大人の甲状腺がん検診が有効でないことについては同意できますか? 私の知る限りにおいて、甲状腺がん検診が有効である(つまり、甲状腺がん検診を受けると、受けない人と比較し

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  • WHOは抗がん剤治療を含めた三大療法を勧めている - NATROMのブログ

    ネットでは間違った医学情報がたくさん流れています。その中の一つに「WHOが抗がん剤の使用をやめるようにいいだした」というものがあります。実際には、WHOはそんなことは言い出していません。WHOのウェブサイトにアクセスすれば一目瞭然です。 がん治療についてWHOが言っていること WHOはさまざまな医学情報を提供しています。たとえば、一般的ながん(Cancer)についてのページを引用してみましょう。がんに対する治療として、外科手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)に効果があることをWHOは認めています。引用者による意訳と、抗がん剤治療の部分に強調をつけました。 ■WHO | Cancer Cancer is the uncontrolled growth and spread of cells. It can affect almost any part of the body. The

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  • 「過剰診断」とは何か - NATROMのブログ

    早期発見・早期治療が常に良いとは限らない 癌は早期発見・早期治療が大事だと言われているが、いつでもそうだとは限らない。他のあらゆる医療行為と同じく早期発見・早期治療にはメリットと同時にデメリットがあり、そのバランスを考える必要がある。早期発見・早期治療のデメリットの一つが、過剰診断である。ここでは、過剰診断とは「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」と定義する*1。癌を早期発見しようとすると、治療せず放置しても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない癌を診断してしまう恐れがある。 癌を放置しておいても自然に治癒することはなく、局所浸潤したり転移したりして治りにくくなると一般に思われているためか、癌の過剰診断について理解が得られにくいことがあるようだ。まず最初に、過剰診断の典型的な事例を考えることが理解の助けになるだろう。前立腺癌の死亡率と比較して

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  • なぜEM(EM菌)はインチキでニセ科学と言われるのか - NATROMのブログ

    琉球大学農学部教授であった比嘉照夫氏が開発したEMEM菌)は代表的なニセ科学だとみなされている*1。一方、「数百の論文」があるがゆえに、EMはインチキでもニセ科学でもないとの主張がある。 ■2014年10月20日の記事 | EM(微生物)の力で環境を守る インターネット上では、EMを好ましく思わないグループもいるようですが、彼らの主張する「論文が無い」「EMはインチキでニセ科学」という批判が、完全に的外れであることが分かります。 これらの論文や実際の現場でのEM技術を検証することもせず、開発者の比嘉照夫氏の人格批判や、風評を撒き散らす行為こそ、科学者としての道を外れてしまっているのではないでしょうか。 確かに、「EM研究機構」のウェブサイトには「学会発表や論文」と称する大量のリストがある。これらのリストは、EMはニセ科学だという主張に対する反論になりうるのだろうか?実際のところ、これらの

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  • まさか今時ニュートンを否定している人なんていないですよね? - NATROMのブログ

    間違い方は多様である。説明のためにごく単純な例を挙げよう。算数の問題で、「1+1=」と問われたら、正しい答えは「2」しかない。一方で間違った答えは無数にある。「1+1=1」「1+1=3」「1+1=4」「1+1=5」。すべて間違った答えである。また、一般的に、間違い方はそれぞれ矛盾する。「1+1=1」という答えと、「1+1=3」という答えのどちらも正しいということはありえない。 算数から離れると、たとえば二進法では「1+1=10」という答えもありうる。自然科学や医学の問題では、必ずしも算数のように唯一の正解があるとは限らない。しかしながら、間違い方は多様であるという原則は変わらない。定説を否定するトンデモ説はきわめて多様である。教科書にも載っている定説を否定する人たちは、しばしば相互矛盾する複数のトンデモ説を信じることがあり、興味深い。定説を否定することが重要であり、トンデモ説自体の正しさに

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  • 自覚症状のない発熱はありうる - NATROMのブログ

    エボラ出血熱の発生地であるリベリアに滞在後、羽田空港に到着した男性に発熱の症状が確認されたというニュースがあった(■リベリア滞在の男性 エボラウイルス検出されず NHKニュース)。ニュースによれば、「男性は体の不調は訴えていませんでしたが、到着時に検疫所で熱を測ったところ、37度8分の熱があった」とのことである。 ブックマークコメントに、37.8度の発熱があるのに体調不良などの自覚症状がないことがあるのだろうか、という趣旨のものがあった。このように疑問を表明していただくのはありがたいことである。医療従事者にとっては当たり前のことであっても、必ずしも一般の方にとって当たり前とは限らない。言ってもらわなければそこにギャップがあることになかなか気付けない。 多くの人にとって、体温を測るのは、何かしらの体調不良があるときである。だが、体調不良がないのに体温を測ることはめったにないのではないか。その

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    maangie
    maangie 2014/10/30
    3ヶ月入院して毎日検温したけど、特に変わったことはなかったなー。記事は流石。
  • 海水を点滴したというルネ・カントン氏について調べてみた - NATROMのブログ

    はてなブックマーク経由で、■「ただの海水で、病気が治っては儲からない」のでウィキペディアから消えている人物:ルネ.カントン|人生は強く,たのしく、しあわせに☆ ネオヒルズというよりも,ネオ日人。というブログを知った。このブログによれば、ルネ・カントン(Rene Quinton)という人物は、「1907年、初めてのクリニックをオープンしてから、血液の濃度まで薄めた海水を病人に輸血し、1910年までにフランス国内で約70ものクリニックを開け、50万人以上の命を救った」のだそうである。「ただの海水で、病気が治っては儲からない」ため「ペニシリンや抗生物質が売られ始めてから、彼は歴史から消されかけた」とのこと。なお、「ウィキペディアからさえ消えている」そうだが、英語版のWikipediaにRene Quintonの項目は普通に存在する。 情報源は、『「ザ・フナイ」の中で船瀬俊介氏が連載している記

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    maangie
    maangie 2014/08/04
  • 安保徹氏の反ワクチン論を信じてしまった衆議院議員 - NATROMのブログ

    安保徹氏(元新潟大学教授)は「免疫学」を売りにした著作で知られている。「爪を揉むことで免疫力が上がってさまざまな病気が治る」「癌の痛みは治癒反応であり、癌性疼痛に対して痛み止めを使ってはならない」など、きわめてユニークな主張を行っている。安保徹氏による臨床に関するユニークな主張には医学的根拠はない。「専門家の間では議論がある」というレベルの話ではなく、一見しただけで明確に間違いだとわかるレベルの話である。 ところが、その安保徹氏による反ワクチン論を信じてしまった衆議院議員がいた。武藤貴也議員は、自身のオフィシャルブログにおいて、パンデミックに備えた抗インフルエンザ薬とワクチンを税金で購入することを懐疑的に論じた。その根拠が『「インフルエンザワクチン」の効果が殆ど無い』という安保徹氏の主張なのだ。 ■衆議院議員 むとう貴也 オフィシャルブログ「取り戻そう!日!」(自民党滋賀4区) 白血球の

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  • 癌は真菌であり、重炭酸ナトリウムで治療可能だったんだよ! - NATROMのブログ

    イタリアの元医師シモンチーニ氏が、癌の病因と治療に関して、きわめてユニークな説を主張している。■デーヴィッド・アイク公式日語情報ブログ*1より引用。 聡明で勇敢なイタリアの医師トゥリオ・シモンチーニ(Tullio Simoncini)は、そのひとつの例である。彼は、ガンの正体とその対処法を突き止めた後に直面することになった巨大な圧力に屈することを拒み、それに立ち向かい続けた。 シモンチーニの「犯罪」とは、ガンがカンジダという健康な人の体内でさえ少量存在するイースト(酵母)菌に似た有機体によって生じる真菌であることを発見したことである。普段は免疫系がそれを抑制しているが、カンジダが強力な菌に変異する時、いくぶん深刻な健康問題が発生することになる。ガンもそれである。 「癌は真菌である」という主張はユニークであるが、その背景の陰謀論はいつものやつである。高価だが効かない抗癌剤を売っている製薬会

    癌は真菌であり、重炭酸ナトリウムで治療可能だったんだよ! - NATROMのブログ
    maangie
    maangie 2014/06/07
    トゥリオ・シモンチーニ。千島喜久男。※菊川征司isbn:4199060685。
  • 「ニセ医学」についての本を書きました - NATROMのブログ

    を書きました。2014年6月25日が発売予定日です。 ■「ニセ医学」に騙されないために NATROM (著) 内容はこのブログの読者にとっては馴染み深いものです。「抗がん剤は毒にしかならない」「麻薬系の鎮痛剤は体に悪い」「瀉血でデトックスできる」という誤解・デマや、ホメオパシーやオーリングテスト、千島学説といった科学的根拠に乏しい主張を30項目取り上げて、批判的に言及しました。ブログと同じような表現になってしまった部分もありますが、基的にはブログの転載ではなく書き下ろしです。 マーティン・ガードナーの■奇妙な論理や、ASIOSの■謎解き超科学のようなと思っていただければよいでしょう。 いつも指摘されることですが、こうしたに載っている情報を当に必要としている人は読まない、というものがあります。根的な解決策はないでしょう。次善の策として、少しでもわかりやすく読んでいただけるよう試み

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  • 「ためしてガッテン」の健康本の新常識クイズが難しすぎる件 - NATROMのブログ

    医局に転がってた■ためしてガッテン 健康の新常識事典を何気なく読んでみた。各項目が健康に関する「常識」についての○か×のクイズ形式になっており、次のページに答えと解説が入る。全体的には良いである。ただ、このクイズがなにげに難しいのだ。たとえば、こんな具体である。 新常識クイズ:「玉ねぎの血液サラサラ効果はあらゆる品の中でもトップクラスである」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「ヨーグルトは花粉症に効く」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「風邪予防にはうがいが最も効果的」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「味オンチ(味覚障害)は亜鉛不足のせい」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「水虫は薬を塗っても完治は難しい」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「肺がんはX線検査をすれば見つけることができる」 ○ どっち? × 新常識クイズ:「高血圧は降圧剤を飲めば改善できる」 ○ どっち? × 興味があ

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    maangie
    maangie 2014/03/31
    ははは。
  • 混合診療のメリットとデメリット - NATROMのブログ

    最近、TPP関連で混合診療がよく話題にあがる。混合診療の問題は複雑である。「混合診療に反対している連中は既得権益を守っているだけ。がん難民のためにも今すぐ混合診療は全面解禁するべき」という意見も、「混合診療を解禁してしまうと、マイケル・ムーアの『SiCKO』のような、貧乏人がまともな医療を受けることができなくなる酷い制度になってしまう。絶対反対」という意見も、どちらも極端である。この両極端の意見の間のどこかに妥協点を見つけるのがいいだろうと私は考える。 混合診療とは何か? 混合診療とは、保険診療と自由診療(保険外診療)の医療を併用することを言う。現在の日では、混合診療は原則として禁止されている。たとえば、医療費が20万円の保険診療を受けると、自己負担割合が3割の人は、6万円のみ支払えばいい。14万円は保険者が支払うことになる。さらに、10万円の自由診療を同一の医療機関で受けたとする。混合

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  • 水俣病と化学物質過敏症は異なる - NATROMのブログ

    ■NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について - 赤の女王とお茶をにおいて、sivad氏が私の「難病や公害に対する基的な姿勢」に問題があると指摘している。あたかも私が水俣病の病因を無視して被害を拡大させた医学者と同様であるかのような書き方であった。読者のみなさまには、このエントリーにて、臨床環境医学の問題点や、化学物質過敏症と水俣病の違いについてご理解していただけたら幸いである。 多種類化学物質過敏症と水俣病との違い Multiple chemical sensitivity(MCS, 多種類化学物質過敏症)という疾患概念は、主流の医学界からは認められていない。たとえば、American Medical Association (AMA, アメリカ医学協会)は "Until such accurate, reproducible, and well

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  • 我々は迷信行動を行うハトになっていないか? - NATROMのブログ

    ■体験談は証拠にならない〜浄霊による体験〜では、「浄霊」の後、熱が下がったという体験談を紹介した。「浄霊」に病気を治すという効果がないことに、おそらくは読者の大半は同意していただけると思う。しかし、「浄霊」には効果があると誤認してしまう人もいる。なぜか?効果のない治療法が用いられていたのは、「浄霊」のような宗教関係だけではない。西洋医学も200年ほどさかのぼれば、瀉血や水銀療法といった効果のない治療を行ってきた。それどころか、何百年もさかのぼらなくても、最近でも「実は効果のなかった」という治療法はわりとある。有名どころでは、脳循環代謝改善剤の多くが、再評価の結果、効果効能を取り消された。 実際には存在しない効果を誤認してしまう理由はいくつかある。ここでは、人間には続けて起こった二つの出来事に何らかの因果関係を読みとってしまう傾向がある点について考えたい。「浄霊」した後に、「熱が下がった」わ

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    maangie
    maangie 2013/08/02
    リチャード・ドーキンス「虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか」isbn:4152083417。
  • 特異度と偽陽性率と陽性反応的中割合と - NATROMのブログ

    問題:疾患Aの有病割合は10万人に1人である。あなたは疾患Aに関して特にリスクが高いわけでも低いわけでもなく、平均的なリスクを有している。あなたが検診で疾患Aの検査を受けたところ、陽性であるという結果であった。この検査の感度は100%(偽陰性率0%)、特異度は99%(偽陽性率1%)である。あなたが真に疾患Aである確率は? 感度・特異度の話はややこしく、うっかりするとたやすく間違えてしまう。信頼できる書籍をアンチョコにするのがよい。以下、医学者は公害事件で何をしてきたのか(津田敏秀著)より表を引用する。 診断の正しさを評価するための2かけ2表 「感度は100%。特異度は99%」という高い精度の検査で陽性という結果が出た以上、真に疾患Aである確率は高そうに直感的には思われる。しかし、実際にはそれほどではない。有病割合がきわめて低いと、検査で陽性の結果が出た人の大半が偽陽性である。実際に2×2の

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  • 血液型と性格の関係を否定するまずい論法について - NATROMのブログ

    血液型と性格には強い*1関連があるという主張がある。血液型性格判断あるいは血液型占いと呼ばれている*2。こうした主張には科学的根拠はない。詳しくは■遺伝学からみた血液型性格判断で論じた。ニセ科学を論じる上では「定番」となっている話題である。さて、 ■血液型占いにすっかり洗脳されている皆さまの目を覚ます呪文について | More Access! More Fun! というエントリーが注目を集めている。このエントリーでは『女性誌やテレビを中心に蔓延している「血液型占い」は真っ赤な嘘である』と主張されており、その結論には概ね同意はできるが、結論を導く過程においていささか難があるように思える。「血液型占い」が真っ赤な嘘であるとしても、不適切な論法で批判するのはまずい。ここでは、かのエントリーのどの部分が不適切であったのか説明することとする。 アフリカアメリカ人にA型が多いことは血液型占いが間違っ

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  • 「疑似科学ニュース」の「福島の甲状腺癌の変な^2話」 - NATROMのブログ

    福島県の小児の甲状腺がんをめぐる主張は入り乱れている。やや乱暴であるが、大雑把にまとめると以下のような流れであると私は理解している。なお、ここでは、有病割合=「単位人口当たりのスクリーニングで発見された有病者数」、罹患率=「単位人口年当たりの自覚症状を呈して医療機関に受診し診断された患者数」と定義する*1。 2013年2月の段階で、0歳から18歳の福島県の調査において、約38000人中、3例の甲状腺がんが確定し、さらに細胞診陽性者を含めると10例の甲状腺がんあるいは疑い例が認められていた。一方で、小児の甲状腺がんの罹患率は1人/100万人。以下のような不安な声が出てくるのは十分に理解できる。 (1)「有病割合=3〜10人/4万人」は「罹患率1人/100万人」よりかなり多い。甲状腺がんは有意に多発している。 ただし、少し考えればわかるように、スクリーニングで見つけ出してきた癌は、症状が生じて

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    maangie
    maangie 2013/06/05
    津田敏秀。片瀬久美子。うーん、難しい。「よくわからん」のもむべなるかな。
  • 陽性反応的中割合と「100%引く偽陽性率」を取り違えた甲状腺癌数の推計について - NATROMのブログ

    さて、題。感度や偽陽性率といった用語の意味を確認したいときは、■特異度と偽陽性率と陽性反応的中割合とで引用した表を参考にせよ。 問題:甲状腺癌の2次検査の細胞診検査において7名が悪性と診断された。この検査の感度は90%(偽陰性率10%)、特異度は90%(偽陽性率10%)である。この7名のうち真に甲状腺癌であるのは何人か? 報道によれば、福島県の子供約3万8000人に対する甲状腺検査において、2次検査で細胞診を施行されたのは76名である。76名のうち10名が悪性もしくは悪性の疑いありとされ、その10名のうち3名が既に手術を施行され甲状腺癌と診断が確定した。残りの7名はまだ確定診断に至っていない。3万8000人中の3人というのは、原発事故との因果関係があるかどうか断定できないものの、多発と言っていい数字であるのは確かである。スクリーニング検査による掘り起こしに過ぎないのか、それとも有意に甲状

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  • 「A型肝炎というのは、全く怖くない」のか? - NATROMのブログ

    肥田舜太郎(著) の内部被曝 (扶桑社新書) [新書]の■アマゾンレビューに、「事実を曲げて不安を煽るのはいけません」という肥田舜太郎氏に批判的なvseprさんのレビューが載り、さらにそのレビューに対して岩清水宏さんのコメントがついた。現在ではそのコメントは「投稿者により編集済み」であるため、■”「地図のない分野」で、必死にもがいている身から、一言だけ言わせていただければ” - kom's blogより引用する。 医学部を出た人間には常識だと思いますが、A型肝炎というのは、全く怖くない。 急性期に、ドカンと肝臓が炎症を起こすが、休んでいれば、肝臓も再生されて、元通り。肝硬変、肝癌なんかにはならない。 ところが、B型C型肝炎の怖いのは、たとえチョロチョロと持続する炎症でも、 長期には、肝硬変に至り、肝癌にも高率でなってしまう。 「急性炎症=全然怖くない」「慢性持続炎症=いろんな障害を引き起こ

    「A型肝炎というのは、全く怖くない」のか? - NATROMのブログ