あ、超おひさしぶりです。 最近めっきり筆不精になってしまったので、リハビリ代わりに、再帰理論の初歩的な定理を紹介するシリーズでも始めようかなあ。 でも、シリーズとか言っておきながら、一回で終わったりするかも。せめて二回くらいはやれるように頑張ります。たぶん。 再帰理論と再帰定理 数学基礎論の一分野である再帰理論は、20世紀前半頃から研究され始めたそこそこ新しい分野です。といっても、数学基礎論自体が19世紀末から20世紀初頭に生まれた新しい分野なので、再帰理論は数学基礎論の分野としては結構古い部類だったりはします。 というわけで再帰理論の初歩シリーズ第一回は、再帰理論の再帰の名を冠する定理「再帰定理」の紹介。 この定理は、もしかしたら、プログラマさんとかの間では常識なのかも。 「再帰定理」とは、大雑把に言うと、 「プログラムに自己言及を含ませることができるよ〜」 「自己増殖をするプログラム
さて尊敬する速水さんの二冊目単著「自分探しが止まらない」がいよいよ発売となる。 それに合わせて私の自己啓発論というのを一つ語ってみたい。 まあ私はずーっと自己啓発的なものをぼろくそに言ってきた。みつを的メッセージやホワイトバンド、ライフハック、宗教。たぶんこれからもぼろくそに叩くと思うけれど、今日はまあ一時停戦。現代の自己啓発とはなんだろうという雑感である。 正直なところPHPとか大量に出回っている自己啓発本とか、みつを的な路上詩人のメッセージとか、それらはみんな自己啓発とは違うものだと思っていた。そもそも自己啓発というのはめちゃくちゃハードなものだからだ。 本来、自己啓発というのはこんなもんだと思った。どこかの施設に軟禁し、食事を抜き、睡眠不足に追いやって、そこで徹底的にその存在を否定してやり、人格を一旦リセット。そんで再構築するという……まあ洗脳である。シベリア抑留兵や中国で捕虜になっ
速水健朗さんの「自分探しが止まらない」を読んだ。 読み終えたあとに感じたのは恐怖だった。この感覚は斎藤貴男の傑作ルポ「カルト資本主義」でも感じたが、現代日本に覆う得体の知れないものの正体に肉迫しているように思える。凡庸な表現になるが、これこそが警鐘を鳴らしてくれる「社会の木鐸」というやつなのだろう。 ただ違和感を覚えたのは帯だ。バックパック背負った若者とゴス娘のヘタウマイラストがあって、「こんな若者にはもううんざり」と挑発的な文句が並んでいる。これはベストセラー新書の「他人を見下す若者たち」とかにならったものなのかは知らないが(こっちの著者名も速水だ)、本の内容と乖離した帯は、宣伝になるどころか上滑りするだけではないかと思う。あれは「こんな若者につけこむ輩にはもううんざり」とすべきだったのだ。でもこれじゃあまり宣伝にはならないのか。 http://d.hatena.ne.jp/S2D2/2
■[雑記][本]『福祉国家/社会的連帯の理由』(の齋藤論文) 『福祉国家/社会的連帯の理由』の齋藤純一論文を読む。学会報告しようとしてることの内容に一番近い論文だと思ったので。他の方の論文はユルユルと(新川論文も――特に、ボランタリー・アソシエーションと連帯、あるいは社会(関係)資本の関係について論じた後半部分は――読んだけど)。 福祉国家/社会的連帯の理由 (講座・福祉国家のゆくえ) 作者: 斎藤純一 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2004/04 メディア: 単行本 齋藤は、序論で、本書の目的を以下のように説明する。 本書は、社会的連帯の理由をあらためて問いなおそうとする試みである。ここでいう社会的連帯とは、互いの生を保証するために人びとが形成する人称もしくは非人称の連帯を指す。非人称の社会的連帯は、保険料の拠出や納税というかたちをとった資源の移転をともなっており、社会的
これって…これって糞マンガじゃね?私、昔から少年漫画誌とかにある、さえない男の子に何故かたくさんの美女がちょっかい出してくるお話って嫌いだったのですが*1、島耕作はそんな少年漫画が文字通り児戯に思える。調子がいいなんてもんじゃない。島は一歩も動かないのに出会った女のほぼ全てが露骨なモーションをかけ(ものすごい見え透いたハニートラップにしか見えないのだが、皆本気らしい)、さして頭がよいとも思えないのに(はっきり言うと周りがレベル低すぎ。大企業らしいのに)とんとん拍子で出世。しかもこいつ人としてどうよというレベルの酷薄な性格で、娘が死んでも一話で忘れて次の週から女といちゃいちゃしてます。モーニングで島耕作読んだことあってその時もあまりのアレさにびっくりしたんだけど、今日単行本を読む機会があって*2、これは本当に糞漫画だなあ、と改めて認識しました。というかこんなの持ってる男がいやになる。少なくと
基本的に映画というものは、誰がどのように語っても構わないとは思うのだが、それが間違った情報に基づいていたり、劇中で描かれているものを無視しているようなものは、問題があるだろう。てらさわホークという方の「モヤモヤ超大作「マン・オブ・スティール」のスーパーマンが煮え切らない件」という一文が、まさにそれだった。以下に、事実誤認と思われる箇所を指摘してみる。 (…)滅亡したはずのクリプトン星から地球に侵攻してきたゾッド将軍。この狂った軍人とスーパーマンがもの凄いバトルを繰り広げる。(…)派手にブッ壊れる高層ビル、あっという間に崩壊寸前に追い込まれる大都市。地上では瓦礫に閉じ込められた一般市民が死を覚悟している。そういう彼らをスーパーマンが助けるのかと思う。ところがヒーローは彼らに一切、目をくれることすらしないのだ。 まず、これは端的に言って見落としだ。メトロポリスでのアクションの結末では、無辜の市
昨夜のNHK特集、「放送記念日特集 激震 マスメディア 〜テレビ・新聞の未来〜」と「閃光のナイトレイド」絡みで、1931年のマスメディアについて、部屋の積読本を漁っていたら、面白い話を見つけました。 1931年9月18日に起きた満州事変を境に、日本の新聞報道は一気に軍部寄りの報道へと偏っていくんだそうですが、その背景には、当時は新興メディアであったラジオに対する既存メディアである新聞の対抗意識があった、という指摘です。 ■新興メディアのラジオとスピード競争を始めた新聞 > 一方、日本国内では、この日の朝刊が──当時は朝日新聞と東京日日新聞(現在の毎日新聞)がダントツの部数でした──ともに俄然、関東軍擁護にまわったのですよ。繰り返しますが、それまでは朝日も日日も時事も報知も、軍の満蒙問題に関しては非常に厳しい論調だったのですが、二十日の朝刊からあっという間にひっくり返った。 【中略】 どうし
11月に奈良で小学生の女子児童が誘拐・殺害された事件は、年末に容疑者が逮捕されて事件は収束に向かっている。真犯人と十分に確定できるだけの人物が逮捕されて良かったと思っている。 この事件で僕が注視していたのは、容疑者逮捕以降にどのような報道がなされてきたか、ということだ。つまりそれは、この事件がどのような「物語」としてまとまっていくか、という過程のことである。 ここまでの具体的な流れを振り返ると、年末年始を挟んだということもあり、報道が極端な方向に傾いて、ことさらに加熱することはなかったという印象を持つ。実際、現在の報道は性犯罪者の再犯防止策を講じる方向に傾いており、事件が非常に陰惨かつ情緒に訴えかけるような内容にもかかわらず、極めて冷静かつ生産的な方向に傾いていると思う。 もちろん、伊藤剛(id:goito-mineral)さんなどがずっと指摘してきているように、「フィギュア萌え族」という
論理学をつくる 戸田山 和久論理学をつくる作者: 戸田山和久出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2000/10メディア: 単行本購入: 27人 クリック: 330回この商品を含むブログ (107件) を見る 「科学的思考」のレッスン 戸田山 和久「科学的思考」のレッスン―学校で教えてくれないサイエンス (NHK出版新書)作者: 戸田山和久出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2011/11/08メディア: 新書購入: 12人 クリック: 98回この商品を含むブログ (36件) を見る 論理的思考のレッスン (ちくま学芸文庫) 内井 惣七 論理的思考のレッスン (ちくま学芸文庫)作者: 内井惣七出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/06/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 科学技術をよく考える -クリティカルシンキング練習帳- 科学技術をよく考え
『ダークナイト』で今最も注目されている監督のひとりになっているノーランであるが、ノルウェー映画のリメイクである『インソムニア』やプリースト原作の『プレステージ』などの注目すべき作品をいくつも撮っている。気になったので、二作目の出世作『メメント』を見返していた。 僕は、この作品は、現代における人々の基本的条件を表している作品だと思っている。ものすごく高く評価している。あらすじはというと、短期記憶しかもてない男が、メモを頼りに、妻を殺した男に復讐を図るというものだ。ここから先はネタバレの連続になるので、見てない人は読まない方がいい。実際に見て驚いた方がいい。常に忘却に教われる中で、オーソライズも不確かな文字情報と写真だけで物事を判断する。そして復讐すべき相手の「事実」(FACTS)は身体に刺青で彫られている。 この主人公は、とある事件以前の記憶は確かに持っている。それ以降の短期記憶がもてない。
togetterにまとめられた一連のツイートの補足です。 http://togetter.com/li/527907 「毎日新聞社長ら書類送付」(http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020801000544.html)の件で各紙*1がなぜ「書類送付」という見出し・本文で記事にしたのか。 警察は、捜査した事件を全部検察へ送らないといけません。この「検察へ送る」ことを、刑訴法246条では「送致」と記載してます。その例外として、「この法律に特別の定のある場合」と「検察官が指定した事件」があるとされています。 「特別の定」とは、(1)被疑者を逮捕した場合(203条他)と、(2)告訴・告発を受理した場合(242条)。 (1)は時間制限が発生(逮捕から48時間以内というやつです)。(2)は「捜査後」じゃなくて「受理後」。いずれも「原則よりもっと早く検察へ送れ」とい
1日日付が遅れたが、昨日6月25日は朝鮮戦争が勃発した日でした。今年7月27日は、停戦50周年となります。 この機会に、朝鮮高級学校の教科書で描写されている朝鮮戦争のようすを。 朝鮮戦争の開始と拡大 米帝のそそのかしのもと、李承晩は1950年6月23日から38度線の共和国地域に集中的な砲射撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した。 共和国政府はただちに李承晩「政府」へ戦争行為を中止することを要求し、もし進攻をやめないときには決定的な対策をとることを警告した。しかし敵は戦争の炎を引きつづき拡大した。 6月25日共和国に作り出された厳重な自体と関連して朝鮮労働党中央委員会政治委員会が招集され、ついで共和国内非常会議が開かれた。 敬愛する金日成主席様におかれては、会議で朝鮮人をみくびり刃向かう米国のやつらに朝鮮人の根性をみせてやらなければならないとおっしゃりながら、共和国警備隊と人民軍部隊に
およそ 3ヶ月ぶりに再開させたプロジェクトが Ruby1.9.2, Rails3.1 というレガシーな環境だったので、Ruby1.9.3, Rails3.2.3 で仕切り直しました。その作業の覚書きを記事にします。 手元の開発用の Ruby は、Rails の起動が飛躍的に早くなるパッチのあたった Patched ruby 1.9.3-p125 for 30% faster rails boot を採用しました。僕は rvm を使っていて、リンク先に記載されている手順を参考にしてインストールしました。@irohiroki さんは、export CONFIGURE_OPTS="--with-opt-dir=/usr/local --enable-shared" する必要があったと言ってましたが、自分はそんなことなかったので詳しくは知りません。 rvm get head rvm reload
昭和30年代が好きだ。 なぜならそこにあるのは混沌と暗黒の世界。右翼はいつ起きるかわからない革命に怯えて政治家や出版社を襲い、左翼は大勢で道端や国会や大学で暴れまくった。長嶋が天皇の前でホームランを打っていた頃に、熊本の漁民は有機水銀たっぷりの魚を食べて苦悶していた。正義のヒーロー力道山はドラッグと酒にトチ狂い、目の前にあるものすべてをぶん殴った。 高度成長期の東京はオリンピックに向けて大工事。騒音と埃と神風トラック、神風タクシーが行きかうやかましい街だった。増える車の台数に道がおっつかず、そこいらで大渋滞が起きていた。環境保護という概念は確立されてはいないために、煙突からは有害な黒い煙がもくもくと吐かれ、東京湾には得体の知れない物質の混じった廃液が垂れ流し。 輸送に明け暮れる国鉄は鶴見と三河島と宇和島で大事故を起こし、100人単位で乗客をあの世に送った。戦争の苦しみを知っていた規律正しい
東京の人口が未だに増え続けているという。もうすぐ1300万人を突破するとか。 仕事を追い求めて地方の人間がぞくぞくと集まっているのであろう。しかしそれだけではなく、リタイヤした高齢者もけっこう東京に向かっているのではないかと思う。仕事ほしさだけで人は上京するわけではないようだ。 先日、TBS系の深夜ドキュメント番組「ドキュメント・ナウ」を見た。この番組はわりと好感が持てて、大衆の現状というものを過剰に(古舘の過剰に深刻ぶった面にはうんざり)伝えることがない。テンポよく淡白にやるから鼻につかない。 先日は札幌における高齢者の集団生活の姿を追っていた。さまざまな理由で田舎で暮らせなくなった高齢者らが、札幌の元学生寮に集まって、スタッフとともに共同で生活するというもの。半介護施設といった感じだろうか。若者の減少によって空いた都会の学生寮に、地方で住めなくなった老人が集まるという姿が大変おもしろか
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