米国ネバダ州のグレートベースン国立公園内のワシントン山に自生する樹齢1400年のイガゴヨウマツ。その印象的な姿は、米国の25セント記念硬貨の裏面に使用されたことがある。(PHOTOGRAPH BY KEITH LADZINSKI) 米国ネバダ州グレートベースン国立公園のワシントン山の頂上近くで、公園の生態学者であるグレッチェン・ベイカー氏は双眼鏡をのぞいた。すぐ眼下の石灰岩から、世界最古級の生物が生えているのが見えた。 マツ属の樹木、イガゴヨウマツ(Pinus longaeva、ブリスルコーンパイン)の幹は密度が高く、白っぽい色をしており、何世紀も突風や雨にさらされて太い縄のようにねじれている。この過酷な地にイガゴヨウマツが君臨しているのは、他の生物がほぼ生き延びられないためでもある。 険しいスネーク山脈に沿った標高約3400メートルの一帯には、草も低木も生えず、害虫もほとんどいない。山火