タグ

ブックマーク / cruel.org (19)

  • 木を見て、森も見てみると:森林は増えている

    (The Economist Vol 381, No. 8504 (2006/11/18), "Seeing the Wood" p. 84) Photo by **Fanch** [ Manannan ] 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 森林の新しい数え方によれば、思っていたより樹木は多い。 農業や林業のための森林の伐採は、世界中でとても不安な速度で進んでいる。でも話はそれで終わりじゃない。新しい研究によれば、少なくとも比較的豊かな国では、切り倒されるよりずっと多くの木が生えてきているとのことだ。 フィンランドのヘルシンキ大学の、ペッカ・カウッピ (Pekka Kauppi) 率いる研究者団は、世界の森林にずばりどれだけ炭素が蓄えられているのかをつきとめようとした。そして1990 年と 2005 年時点の、世界の 50 ヵ国における森林の状況について国連糧農

    monolith
    monolith 2006/11/21
    「。都市化すれば森林破壊は止まる! 高密に住めばエネルギー効率その他は上昇するし、高層化もするから、地方部に人がぶわっと広がるよりも森林は増えやすい!」
  • Evaluation of "Origin of Wealth"

    Eric D. Beinhocker, The Origin of Wealth: Evolution, Complexity, and the Radical Remaking of Economics 査読書 (Harvard Business School Press; ASIN: 157851777X ; 2006) 2005/7/24 山形浩生 Executive Summary 書は、従来型の経済学の限界を指摘したうえで、現在発達しつつある複雑系経済学についてわかりやすくまとめ、それが今後の企業や社会にとって持つ意義をまとめた書物である。 既存経済理論の発達とその限界、そして複雑系経済学の方向性をとりまとめるという点ではよい成果を挙げており、既存経済理論の批判と複雑系経済学の方向性について、進化論的な経済学理解という切り口をつかって枠組みを閉めそうとした点で野心的である。しか

  • ネットワークのオプション価値(Option Value of the Internet )

    1. オプション価値とは ファイナンスで知るべきことってのは、実はそんなに多くはない。式としては 3 つあれば、理論としての用はだいたい足りる(それを実際に使うとなると、また話は別だけれど)。一つは CAPM、一つは M&M、そしてもう一つは、ブラック・ショールズの式、というやつだ。 CAPM というのは、リスクが高いと、それなりの見返り(リターン)が見込めなければ人はお金を出さないよ、というのをきちんとモデル化したものだと思えばいい。M&M というのは、企業の価値を決めるのはその企業がどういう事業をするかで、そのためのお金をどうやって集めようと関係ないよ、というのを式にしたものだ。 ここまではまあ、わかりやすいといえばわかりやすい。が、最後のブラック・ショールズの式というのは、ちょっとたちがちがう。これはオプションというものの値段を理論化したものだ。そしてオプションというのは、いわば、な

  • クルーグマン「経済学と進化論」

    経済学者は進化理論家から何を学べるだろうか。 What Economists Can Learn From Evolutionary Theorists (ヨーロッパ進化政治経済協会での講演, 1996/11) Paul Krugman 山形浩生 訳 おはようございます。進化論的政治経済を専門にする人々に向かってお話するというので、大いに名誉だと思う一方で、ちょっと不安でもあります。すでにご存じかと思いますが、わたしは進化経済学者というわけじゃ必ずしもありません。自分が多くの人よりも経済学に対するオルタナティブなアプローチには好意的だと思いたいところですが、でも基的にわたしは最大化と均衡を奉じるような輩です。それどころか、多くの場合にはわたしは、標準の経済モデルの重要性を熱烈に擁護する立場にまわります。 じゃあなぜこんなところにきたのか? ええ、理由の一つは、わたしの研究が新古典派パラダ

  • ユーロは貿易にあまり影響してないよ。

    (The Economist Vol 379, No. 8483 (2006/6/24), "Economic Focus: The euro and trade," p. 90) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 通貨統合のメリットと称されるものは、実はかなり小さかった。 ヨーロッパ通貨統合という大胆な実験についてはまだ論争が続いているが、少なくともそのコストと便益がどこらへんにあるかについては、多少なりとも合意ができている。コストはマクロ経済的なもので、メンバー国の個別の経済状況にあわせて金利を設定できなくなるということだ。便益はミクロ経済的なもので、貿易や経済成長が拡大する可能性だ。なぜ拡大するかといえば、各国の通貨を両替するコストや、為替レートの不確実性が取り除かれるからだ。 たとえば 2003 年にイギリス財務省は、フランクフルトの設定した金利でやってい

  • 事業収支の考え方:あるリゾートを例に

    要約: 事業収支は、まずビジネスモデルを見て、それからわかる範囲で数字をおさえ、その条件をいろいろ変えてみればいい。常識さえあれば高校生にもできる話だ。あるリゾートを例にそれをやってみよう。 注: 写真と文は関係ありません。 写真はフィジーのマナアイランドリゾート。 1. はじめに なんか例の ap bank に関する駄文を見た人が、融資先についてあそこで言ってる「もとがとれるかわからない」とかいうのは予断をもって見ているのではないかとかなんとか、事業の当の中身はわからない以上そういう決めつけはどうのこうの、そんな簡単に事業のよしあしがわかるものか云々というメールを送ってよこしてくれたことであるよ。まったく浜の真砂はなんとやらブツブツ…… おめえさんがた、むずかしく考えすぎ。もちろんそりゃあ、その事業の微に入り細をうがって知ってるわけじゃないよ。でもだいたいの見当はつくんだ。だって、そ

  • イケア (IKEA) の企業構造について:追加コメント

    まったくきみたちは世話がやける:イケアの企業構造は、そんな人倫にもとる代物ではないのですよ (Part 1) 山形浩生 (hiyori13@alum.mit.edu) イケアは、異様な企業構造で税金回避をするのはちょいとアレではありますが、それは事業の善し悪しとは関係ないし、儲けの源泉でもないのだよ。 なんかイケアの企業構造を説明したあのエッセイは、はてなブックマークでも結構な人気で訳者/解説者冥利に尽きるんだが、どうもその反応を見ると必ずしもきちんと理解してもらえていない部分があるらしい。 特に、絶対にやってはいけないまちがいをしている人を結構見かける。「イケアはこんな手口を使ってるから儲かってるのか!」と思った人が結構いるようなんだ。「連中はこんな不当な手を使って儲けてるのか、汚いぞ!」と思った人とか。「イケアの暗黒部分」とか「これはひどい」とかいうコメントが結構ついているじゃないか。

  • 組み立て式会計:イケア (IKEA) の不思議な企業構造

    (The Economist Vol 379, No. 8477 (2006/5/13), "Flat-Pack Accounting," pp. 59-60) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) ゲイツ財団なんか忘れよう。世界最大の慈善団体はイケア (IKEA) の所有者でもある――そしてインテリアデザインにご執心だ。 イケア (IKEA) で買った組み立て式家具を組み立てるほど頭にくる作業はなかなかない。だが、この世界最大の家具小売企業の会計を連結するのに比べれば、家具の組み立て作業ですら簡単なものだ。イケアの実に見事な小売り方式については、すでにいろいろ文献がある (訳注:かなりぬるいが「イケアのローコストの秘密」などをどうぞ)。弊誌は、それに負けず劣らず驚異的な同グループの財務について調べてみた。 そこから見えてくるのは、各国の法制度のちょっとした歪みを抜け

  • アイアンマウンテン報告

    『アイアンマウンテン報告』(ダイヤモンド社、1997年4月) 訳者解説 山形浩生 書誌 書は Report from Iron Mountain: On the Possibility & Desirability of Peace (New York: Dial Press, 1967) の全訳である。翻訳の底としては、一九九六年にフリー・プレスより刊行された新装版を使用し、これに収録されている新たな序文や書評なども加え、さらに日からの材料も加えたものとしている。 翻訳に当たっては、DEC HinoteUltra + Windows95 + ATOK8 +MS Word95を主要環境とし、松田徳一郎監修『リーダーズ英和辞典』(研究社)を主辞書として使用している。 書のなりたち 世界は完全な平和を迎えられるのか。そしてそのためにはどのようなステップが必要なのか。それを現実的かつ具体

    monolith
    monolith 2006/04/18
    戦争は社会のためになる,というアイアンマウンテン報告
  • 本屋にいったら、なんとレヴィ=ストロース『神話論理 I』が出ちまっていた。 - Irresponsible Rumors

    最近の噂 風の噂ではございますが…… なお、リンクする場合には各コメントの日付のあとにある「id」をクリックすると、そのコメントのユニーク id が url 欄に表示されるぞ。 2012/05 しばらく前に、カルロス・フエンテス他界。しばらく前に、フエンテスの小説やノンフィクションをまとめて読んで、もうフエンテスは一通り見切ったと思っていたが、それでもかの大作「テラ・ノストラ」は未だに期待だし、その才能と知性は刮目すべきものがあり、また一部の文のかっこよさと洗練ぶりはずばぬけたものがあった。正直いって、その洗練ぶりがかれの目指すラテンアメリカ土着的な泥臭さと相容れない面はあって、それが彼の弱点でもあったんじゃないかとも思う。ガルシア=マルケスは、発端となったおばあちゃんの昔話的な語り口があり、バルガス=ジョサは何でも力でねじふせるような野蛮さがあるし、カルペンティエールもそこらへん洗練しす

    monolith
    monolith 2006/04/17
    レヴィ=ストロース『神話論理I』.女教師系 AV 神話の分析
  • 山形浩生 - Keynes "General Theory" Digest ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約

    ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約 by 山形浩生 (with Special TNX to 能登麻実子氏……の2ちゃんねるに巣くうキモヲタファンども諸賢) 能書き これは、John Maynard Keynes The General Theory of Employment, Interst, and Money (1936) の要約版だ。邦題は今まで『雇用、利子および貨幣の一般理論』(東洋経済、岩波文庫)だったものだが、「money」ということばを「貨幣」と訳すのが嫌いなのと、いろんなものを羅列する場合の and の使い方を直訳するのが嫌いなので、この邦題にしてある。テキストとしては 1953 年刊の HBJ 版を使っている。 要約といっても、勝手なつまみいじゃない。原書に登場するすべての段落 (ただし6章、14章、19章それぞれのおまけは除く) を、番号をふってまとめてあ

  • how to make an atomic bomb 原子爆弾のやさしいつくりかた

    原子爆弾のやさしいつくりかた 小宮山亮磨訳 以下の文書はThe Journal of Irreproducible Results, Volume 25/Number4/1979. P.O. Box 234 Chicago Heights, Illinois 60411(訳注1) より転載。 1.はじめに アメリカ合衆国法廷で、原子爆弾のつくりかたを記した記事の大衆誌掲載を制限する判決がいくつか下されたために、近年世界的な論争が巻き起こっています。そのような情報が世間に広く知れわたれば、国家の安全が危うくなるから、というのがおきまりの判決理由です。でも、大都市にあるほとんどの図書館に行けば、原爆製造に必要なすべての情報がすぐ手に入るのはよく知られていることで、したがって裁判所の公式見解がもっと重要な要素、すなわち平均的な市民はアホすぎて原爆なんか作れやしないという事実を隠蔽せんとするもので

  • ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』解説 (山形浩生 訳)

    ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』解説 Intro to Keynes General Theory (2006) Paul Krugman 山形浩生 訳 要約: 「一般理論」のすごさは、それが有効需要の問題をきちんとうちだして、セイの法則(供給は需要を作る)と古典金利理論を打倒したことだ。それは経済の見方を完全に変え、ケインズ批判者も含めていまや万人がケインズの枠組みで経済を考えている。今見ると冗長に思える部分も、ケインズが当時の古典経済学の常識を破壊した結果としてそう見えるだけだ。そして金融理論の過小評価というありがちな批判は、当時の(いまの日と同じく)超低金利環境の反映であり、理論の中では重要性も指摘されている。真に画期的な名著。必読。 General Theory初版、1936 目次 はじめに ケインズのメッセージ ケインズはなぜ成功したか ケインズ氏と現

  • Friday the 13th Part 1

    週刊金曜日の取材はこんなものだった。 山形浩生 週刊金曜日に、小谷・山形他裁判について「テクスチャル・ハラスメント」と称する記事が載った。その内容が単に小谷真理の最初の裁判訴状をそのまま述べただけで、山形やメディアワークス側のコメントは一切なし。とても一方的に見えたので、「あれはちゃんと山形のほうの話もきいたのか!」という疑問の声が一部であがっていた。 いやみなさん、ジャーナリストの良心を疑ってはいけません。一応ちゃんと取材はされたのです。ただ、山形の力不足で、ちゃんと採用されるようなまともな説得力あるコメントができなかっただけなのです。というわけで、記事を書いた長谷川清美氏の名誉を守るため、取材の全貌をここに明かしましょう! 彼女はこれだけ手間暇をかけて、うんとこさコメントをとって、その上で、敢えてそのすべてを黙殺し、小谷サイドの言い分だけで記事を書くという高度に政治的かつジャーナリステ

    monolith
    monolith 2006/03/05
    そういえば以前あった山形浩生の揉め事
  • 経済学でのゲーム理論

    ゲーム理論は最近になって、経済学を検討する伝統的な手法に対する強力な対抗馬として台頭してきた。多くの有名な先人たちも、「ゲーム理論」と呼べる形で各種問題に取り組んでは来たけれど、経済理論の一部であり一分野としての、根的で定式化された形のゲーム理論は、ジョン・フォン・ ノイマン (John von Neumann) とオスカール・モルゲンシュテルン (Oskar Morgenstern) の 1944 年の古典『ゲームの理論と経済行動』(Theory of Games and Economic Behavior, 1944)に始まる。 ゲーム理論の主目的は、エージェントたちが意志決定を、外生的な価格(動かない変数)への反応として行うのではなく、他のエージェントの行動(生きた変数)への戦略的な反応として意志決定を行う状況を考えることだった。エージェントは、自分が選べる手番の集合を与えられて、

  • CUT 97.06 茂木健一郎 Do Your Homework!――思いつきの仮説だけでは、脳も心もわからない。

    「脳とクオリア:なぜ脳に心が生まれるか」(茂木健一郎、日経サイエンス社)。魅力的なタイトルだ。人になぜ意識があり、心があり知能があるのかは、未だ謎である。人工知能的なアプローチは先が長そうだし、脳自体の研究の成果もまだ断片的で、認識や記憶の仕組みすらよくわからない。核心に迫るには当分かかりそうだ。そこへいきなり丸の「心」についての理論! 「なぜ脳に心が生まれるか」! それが \3,200! 徳間じゃなくて日経サイエンス社から出てるんなら、そこそこまともなだろうし…… が、まるっきり期待はずれなんだ、これが。「なぜ心が生まれるのか」は結局説明されないばかりか、その見通し仮説すらろくに出しやがんねぇ。JARO に言いつけるぞ! 「クオリア」というのは、人間がいつも感じている、ことばじゃ表現しきれない生々しいアナログな感覚のこと。それを「『神経細胞の活動から説明することが、心と脳の問題の核心

    monolith
    monolith 2005/12/28
  • 文明が病理であるというポモの誤解

    メディアリテラシーの練習問題;室井尚の奇妙な反・嫌煙運動プロパガンダ論 山形浩生 (2005/9/30) 目次 はじめに:『ハッカー宣言』書評から嫌煙話まで 嫌煙キャンペーンは嘘八百ってホントかな? 2.1. 肺ガン・気管支ガンが喫煙と無関係ってホント? 2.2. 肺ガン死者数が多いなんて単なる数字の解釈ってホント? 2.3. たばこの発ガン物質なんて大したことないってホント? 2.4. 自分にも周辺にも害がないってホント? 2.5. 喫煙有害説に根拠がなくてただの陰謀ってホント? まとめ 3.1. メディアリテラシーってどの口で? 3.2. 喫煙文化論について 3.3. おわりに 追記: 文明の病理とは (2005/10/1) さらに追記: 室井の「反論」について (2005/10/3, 2007/3/15) 1. はじめに:『ハッカー宣言』書評から嫌煙話まで 『ハッカー宣言』なるの、

    monolith
    monolith 2005/10/01
  • Selected Stuff from The Economist etc.

    The Economist セレクション+α The Economist はすばらしい雑誌で、こんな奇跡のような水準が保てるだけの編集部の力量と、それを支えられるだけの読者層があるというのはうらやましいなどという段階をはるかに超えた、呆然と天を仰ぐしかないというような、そんな雑誌。タイトルだけ見て一般に経済誌だと思われているけれど、きちんとした経済分析をベースにしつつ、政治面もちゃんと分析しているし、科学記事も優秀。また経済も、単なる上がった下がったの後追い記事だけでなく、経済理論の話も詳しく論じていて勉強になります。文化記事や書評欄も先鋭的ではないが現代において必須の教養をきっちりカバー。さらに、冗談記事の充実ぶりもものすごい。確か狂牛病だか口蹄疫だかがヨーロッパで流行ってパニックになり、いまの日の狂牛病騒ぎみたいなヒステリーが起きていたとき「狂牛病なんかよりはるかに恐ろしい、致死率

    monolith
    monolith 2005/08/26
  • Dennett "Freedom Evolves" Japanese Errata

    デネット『自由は進化する』サポートページ 関連リンク デネットのウェブページ 正誤表 初刷りでの誤植・誤訳 (2006/09/12 現在) Page 位置 誤 正 (改訂部分は赤)

  • 1