今年の初夏、あるドキュメンタリー映画が東京で封切られた。ベトナム戦争を描いた「ハーツ・アンド・マインズ」である。好評のため10月に東京で再上映、大阪・福岡などでも上映が予定されている。 同映画はアメリカで1975年1月に公開され、日本ではテレビ局が放映したものの、劇場公開されるのは今回が初めてである。 ナパーム弾で焼き払われる農村、戦闘に巻き込まれ裸で逃げる子供たち、従軍するアメリカ兵士の詳細な姿、ベトナム帰還兵たちの生々しい証言。刺激的なシーンが次から次へと展開されていく。 NHKのニュースウオッチ9でも取り上げられ、同映画を授業で活用する大学の様子や、報道写真家・石川文洋氏のコメントなどを紹介していた。映画を見た学生からは「戦争の悲惨な実態が分かって衝撃を受けた」との感想が上がった。 だが、ちょっと待っていただきたい。この映画は、ベトナム戦争が、アメリカにとって死者5万人を出した悲惨な