日常の臨床からみえること 脳神経内科医という立場上、ALS(筋萎縮性側索硬化症)も含めて神経難病の方々を診療する機会はしばしばある。 いまだに原因も治療法もはっきりしないものも多く、病状に応じての対症的な何かができれば良い方で、進行を止めることも難しい場合など、医学の無力を痛感させられる。 たとえ、高齢者には多いよく知られた病気――慢性心不全、糖尿病、高血圧、多発脳梗塞、閉塞性肺疾患など――であっても、複数合併していたり、年齢による身体の衰えも加わったりすれば、その場しのぎの治療で当面の問題をやり過ごしつつ、様子を見ていくことになる。 そうして病気に患って苦労している人びとは、ふと「死にたい」といった内容の言葉を漏らすことがまれではない。 病気の進行や年齢とともに衰えていく知力や体力を実感するとき、もう乗り越えられないという気分になることは、誰にでもあることなのだろう。 そのとき医師の仕事
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