キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹(以下、瀬口):「米国は、台湾を主権国家として承認すべきだ――」。トランプ米前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏が台湾を訪れ、3月4日にこう発言しました。今日は、この出来事を取り上げます。 同氏は「米国は必要かつ、とっくに実行しておくべきだったことを直ちに行う必要がある。台湾を自由な主権国家として承認することだ」と発言したのです。 前回のコラムで、ロシアによるウクライナ侵攻が中国による台湾武力統一を促すことはないとお話ししました。理由は3つ。 (1)台湾の現状を維持しておいても中国にとって軍事リスクが高まることはない。台湾が本気で独立を宣言する可能性も当面は極めて小さい (2)中国共産党の党大会が今秋に予定されている。習近平(シー・ジンピン)国家主席にとって、この場で総書記3期目の続投を決めることが最優先。それまで無用のリスクは取らない