量子暗号通信は、光の粒子である「光子」を使った通信技術。やり取りするデータの「暗号化」や元に戻す「復号」に用いる「鍵」の情報を光子に載せて送る。光子は、光の最小単位でこれ以上分割できないうえ、不正に読み取ろうとすると状態が変化する。盗もうとした際の痕跡が確実に残ってしまうため、理論上、情報漏洩を完全に防げるという。 東芝は1991年に英国にケンブリッジ研究所を設立し、量子暗号の基礎研究を進めてきた。この研究成果をベースに日本で実用化研究を推進。2020年1月14日には東北大学と共同で、世界で初めてヒトの遺伝情報を解析した全ゲノム配列データを送る実証実験に成功したことを発表している。「実用化に耐え得る水準まで技術を高めてきた」と東芝サイバーフィジカルシステム推進部の江島克郎サブプロジェクトマネージャーは技術に自信を見せる。 量子コンピューター時代に必須の技術 ここに来て、東芝が量子暗号の実用