2011年4月24日、天津飛行場のタクシー乗り場はいやに混んでいた。この日は成田空港から天津への直行便がなかったので、大連から国内便を使って天津に着いた。そのためか、並んでいる客は中国人ばかりだった。40人ほどの乗客が、まともに列を作ることなく、お団子のようにひしめき合っている。それに対して、タクシーは1台しか来ていない。それも大量の荷物を積み込むと、よたよた揺れるようにタクシー乗り場を去っていった。 さて、どうしたものかと迷っていると、1人の屈強な男が近づいてきた。 「どこまで行くんだい?」 「河東区にある世嘉ホテルまで」 「ああ、知ってる。でも、3人もいて、荷物もこんなに多いんじゃ、大きい車を使うしかないなぁ。ん~~、そうだなぁ、150元でどうだい?」 「150元?」 ということは日本円で約2000円。安いものだ。このままタクシー乗り場で待っていれば、おそらく1時間待っても順番は来ない