私は主に研究職として仕事をしている若手の臨床心理士である。アメリカ心理学会が提唱した科学者―実践家モデルで言えば,前者の方に比重を置いている。より具体的には,研究職として仕事をしている時間が約80%,非常勤の心理職として仕事をしている時間が約20%の割合となる。学位をとるまでは,現在よりも実践をしている時間が長かったが,いずれにせよ研究に軸足を置いていた。 今回,若手の臨床心理士として働き始めた途端,「公認心理師ができてこれからどうすんの!?」というテーマをいただいた。いただいたテーマとは違うのだが,せっかくご依頼をいただいたので,今まで漠然と考えていた,公認心理師への懸念について述べたいと思う。 私が現在,公認心理師に対して抱いている懸念は,その職務内容に「研究」が含まれていないことである。公認心理師推進ネットワークのホームページには,公認心理師法案が掲載されているので,まずこの法案を引