ベトナム語のクオックグウという名のローマ字は、世界の中でも字の種類が多い。母音の「a」にも、音韻の差を示すために「ˆ」が被さったり、「ˇ」が乗っかったりすることが多い。そこにさらに6つの声調(アクセント)を表すために「~」「・」など5種類の記号が上下に付される。 (クリックで拡大) チュノムで書かれた文と遭遇。ハノイの文廟で。このたぐいのチュノムの現代での使用例を数例見つけることができた。 「ẫ」など、不便で識別もたいへんなのでは、と外国人として思うことがある。25年前の授業のプリントは、英文タイプ打ちのローマ字に、そうした記号が手書きで添えてあった。「・」などと解されるものが印刷時のただの汚れであることもあった(思えば、かのJISの幽霊文字の原点のようだ)。 ネイティブの方々の手書きは、記号の形がいっそう不明確に見え、特定しにくいときがある。しかし、そうした老婆心とは裏腹に、学生たちには
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