本論では、明治初期・和装新聞の印刷面から、木版と鋳造活字版を識別する判定法を、整版、木活字版、鋳造活字版で印刷された3種類のサンプルに対して実施し、その有効性を検証する。 筆者は芸術工学会誌・第61号掲載論文「明治初期・和装新聞の版式判定」に於いて、同判別法について考察し、以下の手順を提示した。 (1)同一版面に出現する同一字種の複数の文字をサンプリングする。 (2)サンプルにPhotoshopで輪郭トレースを行い輪郭線画像を得る。 (3)輪郭線画像を重ね合わせて照合を行う。 (4)骨格・結構に差異が認められる場合は手作業により製作されたものと言えるので木版と判断される。 (5)骨格・結構に差異が認められない場合は手作業彫刻の偶発的な近似、又は鋳造による複製と考えられる。双方を明確に識別することは困難な為、この場合は判断を保留する。 (6)骨格・結構に差異が認められない場合が複数の組み合わ