屋名池誠『横書き登場 日本語表記の近代』(岩波書店岩波新書, 2003)を読了。『季刊・本とコンピュータ』2004年春号で、著者のインタビューを先に読んでしまったので、慌てて積読本を捜索した結果、無事発見されたもの。 何というか、単純に、誰もやっていなかったことをやってのけるというのはすごい。著者は、右から左への横書きというのは一行一字の縦書きだ、という通説を確認しようとするところから出発して、近代日本における「書字方向」(縦か横か、右から左か、左から右か)の変遷を厖大な資料群を渉猟することで、実証的かつ理論的に語ってみせてくれる。巻末には、調査対象になったコレクションのリストがあって、全国の図書館、特殊コレクション、自筆原稿、マイクロ版集成などを駆使したことがわかる。圧巻。 右から左に書く横書き(これを、「右横書き」という、とのこと)、というのは、日本に伝統的にあったものであるかのように
![横書き登場 日本語表記の近代 - 読書日記](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f857e4e9843d4aea950c7aa9e302701588555d8b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ftsysoba.txt-nifty.com%2F.shared-cocolog%2Fnifty_managed%2Fimages%2Fweb%2Fogp%2Fdefault.png)