漆黒の闇の中にたたずむ軍装の男は、右手を掲げ何かを指さしている。自信に満ちた視線は男が指さす先に向けられている。男が何を指さし見つめているのか、今となっては知るすべがない。本書の表紙に写るアウグストゥスは二千年以上老いることも朽ちることもなく、この男の威厳を今に伝えている。この大理石の彫像はローマにあるバチカン美術館に収蔵されている。彼の妻が隠居していたプリマポルタのヴィッラ後から発掘されたため、プリマポルタのアウグストゥスと呼ばれている。 この表紙のシンプルなデザインが、アウグストゥスという人物の持つ、栄光と明晰な頭脳。そして、冷酷さと狡猾さとを見事に浮き彫りにしているように、私には思えた。彼の「陰」とでも表現したい雰囲気をうまく再現した装丁を眼にしたとき五千円を超える高額本と知っても、買わずにいられなかった。私にとってこれは、それほどの魅力ある装丁であった。 オクタウィアヌスはローマ帝
► 2024 ( 1 ) ► 6月 ( 1 ) ► 2022 ( 1 ) ► 11月 ( 1 ) ► 2021 ( 5 ) ► 9月 ( 1 ) ► 8月 ( 1 ) ► 1月 ( 3 ) ► 2020 ( 12 ) ► 10月 ( 1 ) ► 6月 ( 5 ) ► 5月 ( 1 ) ► 4月 ( 2 ) ► 3月 ( 2 ) ► 1月 ( 1 ) ► 2019 ( 6 ) ► 9月 ( 1 ) ► 7月 ( 1 ) ► 6月 ( 1 ) ► 3月 ( 2 ) ► 2月 ( 1 ) ► 2018 ( 6 ) ► 12月 ( 1 ) ► 11月 ( 1 ) ► 5月 ( 1 ) ► 3月 ( 1 ) ► 2月 ( 1 ) ► 1月 ( 1 ) ► 2017 ( 6 ) ► 12月 ( 1 ) ► 11月 ( 1 ) ► 8月 ( 1 ) ► 7月 ( 1 ) ► 5月 ( 1 ) ► 3月
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く