珍しくミステリの新作をお薦めしようと思う。こうした作品は、本当なら杉江松恋さんにでも書いていただいた方が細部まで目の行き届いた優れたレビューになるのだろうと思う。ただ、ミステリの新作をミステリに詳しい書評家がレビューしても、逆の意味で目立たずに埋没してしまうかもしれない。だから、杉江さんの大きな身体をヒョイと横にどけて、あんまりミステリを読んでいないわたしがしゃしゃり出ていくことにする。 タイトルは『クイックドロウ』。著者はシュウ・エジマ。木世(木へんに世/エイ)出版社が主催する新人賞の「第3回ゴールデン・エレファント賞」で大賞を受賞した作品だ。 いま「そんな賞あったっけ?」って思ったでしょ。 わたしも同じこと思った。書店でこの本を見かけるまで、ゴールデン・エレファント賞というのがあるのを知らなかったもん。だけど、それも無理はない。賞の主催とともに本書を刊行しているエイ出版社というのは、自
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