あの長回しのアクション・シーンが印象的な『トゥモロー・ワールド』の監督、アルフォンソ・キュアロンの新作ということで、宇宙飛行士が猛スピードで振り回され宇宙空間に投げ出される予告編を、劇場で初めて見たときに、「むむっ、これは・・・」と思わされたというのは、この予告編からカッティングされたアクション・シーンが、ワンカットだけでできていたためで、「まさか今回は、映画全編が長回しのワンカットで構成されているのではないか」という予感を持ったためだ。 だが、本編を観るとやはりそんなことはなく、当たり前のようにカットがどんどん割られていくのだったが、そのように誤解させるほどに、「キュアロン=長回しの作家」という印象は強い。 『ゼロ・グラビティ』のカットも、やはり比較的長尺が多い。なかでも、ISS(国際宇宙ステーション)が、飛び交う破片に巻き込まれぐしゃぐしゃになっていく様を、途切れることなく、縦横無尽に