飯田下伊那地方の歴史や自然などを調査・研究した論文を掲載する月刊郷土誌「伊那」が1952年8月に復刊して60周年を迎える。復刊後は休刊せずに7月号で720号を数え、郷土史研究に欠かせない資料となっている。「伊那史学会」主幹の原田望さん(75)(飯田市宮ノ上)は「会員も高齢化が進んでおり若い会員が増えてほしいが、できるだけ長く発行を続けていきたい」と話す。 「伊那」は、織物製造・販売「若松屋」の営業広告誌を改題し38年に創刊した。創刊号は、江戸・天保年間に歌舞伎役者の市川団十郎らが川路村(現飯田市川路)を訪問した「天保名優川路興行記」などを掲載。その後、戦中の紙不足などで44年、一度は廃刊した。 地域新聞の編集長だった原田さんの父増蔵さん(号名・島村)が52年に発行を引き継ぎ、350部で再スタートした。ピーク時の82年から数年は月5000部に伸びた。増蔵さんの後に三男・真さん、次いで県職員だ