■あとがきより 年末ですね。卒論シーズンですね。この時期、さる本のあとがきを思い出します。 論文は科学を装った詩であり、論文を書くとは断念することだ。 ―小峯和明『今昔物語集の形成と構造』(笠間書院、1985年) 今昔物語集の形成と構造 補訂版 笠間叢書 作者: 小峯和明 出版社/メーカー: 笠間書院 発売日: 2014/11/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る これは、著者小峯和明(立教大学名誉教授)が、学生時代教官から言われた言葉です。彼が生涯初めて一書を成し、あとがきを書く段になって、思い浮かべたことば。それがこの「断念」だった―。これを目にしたとき、浮かんだのは、卒論のときの自分と、卒論出せなかった自分の周りの人々の顔でした。マジメに1年間勉強してたのに、なぜ彼/彼女たちは提出日に間に合わなかったんだろう。そんな彼/彼女らのために、「昔、この言葉に出会って