「海辺の図書館で訪れる人を待ちながら、一つ一つできることをしていきたい」と語る庄子隆弘さん=仙台市若林区(塔野岡剛撮影) 東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台市若林区荒浜地区。海から200メートルほど離れた場所に、「海辺の図書館」がある。図書館といえど、本はない。震災前に荒浜に住んでいた人や、ボランティアで県外から訪れていた人が週末に集まり、昔の荒浜の話をしたりする場所だ。震災後の平成26年、津波で流された自宅の跡地に建てた。 「荒浜の震災以前の暮らしを残したいと考えていました。地域の面白さが、世代を超えたコミュニケーションから生まれる場所です」 荒浜で生まれ育った。大学卒業後、司書の資格を取得し、会社員として仙台市内の図書館で働く。震災があった23年3月11日も、東北学院大泉キャンパス(同市泉区)の図書館で勤務中だった。 「震災当時は両親と祖母の4人暮らしでした。大きな揺れに襲われた後、