奈良市が取り壊しを決めた同市四条大路5丁目の近代和風建築、旧都跡村役場(市有財産)は、世界遺産「古都奈良の文化財」の第2バッファゾーンともいえる「歴史的環境調整区域」に位置していることが分かった。旧役場は唐招提寺の近隣にたたずむ昭和初期の貴重な建物で、昔の小学校を思わせる板塀の雰囲気などが、のどかな景観づくりに一役買っている。80年掛けて形成された風景を、なぜ簡単に壊してしまうのか。惜しむ声が出ている。 「歴史的環境調整区域」は、世界遺産を重層的に守るため、「古都京都の文化財」に倣い設けられた。遺産を直接保護する「緩衝地帯」(バッファゾーン)に対し、第2バッファゾーンとも呼ばれるが、「古都奈良の文化財」はハーモニーゾーンの呼称を用いている。環境保全と都市開発の調和を図るための区域になっている。 薬師寺や唐招提寺の東側が「歴史的環境調整区域」の一部で、旧都跡村役場は同区域内にある。市の景観計