【解説】 柴野京子氏は、1962年生まれ、株式会社トーハンを経て、現在、東京大学大学院情報学環博士課程在学中、相模女子大学非常勤講師も務める。取次に勤務していた経験を生かして、出版流通を歴史社会学・メディア論の視点から研究しており、今年7月には、修士論文に加筆修正を加え『書棚と平台――出版流通というメディア』(弘文堂)として刊行した。同書については、「これまで出版流通について書かれた最も優れた作品である」(箕輪成男氏)、「本の未来を考えるとき、本書が示唆するものはたくさんある」(永江朗氏)など多くの反響を呼び起こしており、今後の出版を占う際の必読文献であることは間違いないだろう。 出版流通をめぐっては、高い返品率の一方で配本が読者のニーズに応え切れないなど、取次を中心として様々な課題を抱えている。各所で議論が活発に交わされているなか、いまに至る流通の来歴を冷静に分析することかた始まった今回