大統領は聴衆に向かって言った。「家に食べ物がなければ、盗むほかない」。こうしてモラルを失ったチャべスの子供たちが生まれた。15歳~30歳の若い犯罪者たちは日々殺し、殺されている。けれどもかつては南米一治安の良かったベネズエラ国内を、なぜ、意図的に犯罪で沸騰させたのだろうか? では、筆者とその周辺を襲った犯罪の実態に迫る。 ベネズエラの洗礼―おれはベネズエラのマフィアだ! 6年間のベネズエラ滞在で犯罪に見舞われたのは3回だった。駐在して1カ月もたたないうちに、まずは車上荒らしにあった。スーパーマーケットの駐車場にコンピュータ制御の車を駐車しておいた。アパートに着いて車を降りるときに気がついた。バックやナップサックがない。PC、デジカメ、ウォークマン、電子辞書、名刺、ノート、メモ書き、すべてごっそりとやられた。 フィリピン人の同僚はなお悪い。パスポートも入っていた。ドアの鍵は電子制御されている