中国人は、自己主張や自己判断がとても強い人種といえる。自己判断とは「自分で考えられる範囲での最善の回答」ができることであり、決して悪いわけではない。しかし、時として日本人はその回答を聞いて、「ちゃんと確認した結果の回答ですか?」と思ってしまうときがある。今回はこれに関連する2つのエピソードを紹介する。 ⇒連載バックナンバーはこちら プロジェクターの鏡筒表面に付いた痕 筆者が中国駐在中に、日本の設計者が設計したプロジェクターの鏡筒を、中国の部品メーカーで作製していたときのことである。ダイキャストの金型の作製は終えており、その後工程である旋盤の切削加工とアルマイト処理の出来具合を確認する段階であった。アルマイト処理とは、鏡筒を黒くメッキするようなものと考えていただきたい(ただし、メッキではない)。 筆者は中国の部品メーカーを訪問し、まず工場内のダイキャスト→旋盤加工→アルマイト処理の工程を確認