想像上のラジオ局から流れるコラージュ・サウンド、あるいはコロナ禍で生まれたベッドルーム・ミュージック 前作『Age of』以来約2年ぶりとなるOneohtrix Point Never名義の新作が完成した。テープ・コラージュを駆使した、これまでの活動の集大成となるようなポップかつエクスペリメンタルな作品だが、OPNことダニエル・ロパティンによればコロナ禍のベッドルームで生まれた原点回帰的なアルバムでもあるという。セルフ・タイトルを冠した新作の制作経緯について話を聞いた。 ――コロナ禍という未曾有の事態に社会が見舞われているなか、新しいアルバムをリリースするということについて、率直にどのように感じていますか? 「まあ実験的な状態だよね。当たり前に色々な恩恵を受けていて、今まであまり考えないで済んでいたと思う。コロナ前の自分はナイーヴだった。でもそういう無邪気さは消えたよね。世界で何が起こって