所得格差の拡大が指摘されて久しい。いま、世界は二つの「金ぴか時代」を迎えているーー発展途上国も先進国も、ともに。19世紀末に泥棒男爵が経済を席巻していたのと似たような状況なのが前者であり、グローバル化による低賃金労働力との競争と機械化による人員削減に曝されているのが後者だ。本書は古今の実務家がいかなる生態であるのかを描写してゆく。 Crystia Freeland, "Plutocrats: The Rise of the New Global Super-Rich and the Fall of Everyone Else" かつて所得階層の最上段を占めたのは大地主だったが、現在では高い報酬を受け取る労働者だ。ウォールストリートのトップたちは、その社内の働き手と比べても遥かに高い給与を受け取っている。トップ1%内部でも競争は激しく、トップ0.1%との差は拡大していっている。教育への熱は高