研究室で製造されたウイスキーは、果たしてウイスキーと言えるのか──? サンフランシスコのスタートアップ、エンドレス・ウエスト(Endless West)が、同社初の“ウイスキー”発売でその境界に挑もうとしている。同社の商品「グリフ(Glyph)」は現在、ニューヨークとサンフランシスコの限られた商業イベントでのみ入手可能だが、本稿執筆時点の情報によると、今年末までに1本35~50ドル(約4000~5700円)ほどの値段で発送開始される予定だ。 ここで先ほどの問いに戻ろう。グリフが高級ウイスキーのような見た目・匂い・味だったとすれば、これは本当に高級ウイスキーなのだろうか? エンドレス・ウエストは、ウイスキーに必要とされる醸造・蒸留・熟成といった金も時間もかかるプロセスを踏む代わり、高品質なウイスキーに含まれる分子のタイプや割合を正確に分析し、必要な単離化合物を可能な限り入手して混合させた。こ