[第23回] 作物多様性の保全は、人類の未来を救う カリー・ファウラー Cary Fowler グローバル作物多様性トラスト事務局長 「まさにノアの箱船ですね」。私たちのプロジェクトについて、そんな感想を聞くことがある。 何千年も先の未来まで作物の多様性を残していく。そのためにノルウェー領スバールバル諸島の山中につくった特別な施設で、私たちは世界のあらゆる作物の種子を保存しようとしている。 自分のことをノアにたとえられると、戸惑ってしまう。年を取りつつあるとはいえ、私はまだ、旧約聖書に登場するノアの600歳には遠く及ばないからだ。 カリー・ファウラーさん 冗談はさておき、ノアのやったことと私たちの仕事には似て非なる部分がある。ノアは助けようとする動物の少数のつがいを箱船に乗せたが、私たちは作物の多様性を守るため、多くのサンプルを保存しようとしているのだ。 たとえばイネについて、スバールバル