東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所事故が起きてから2年近く過ぎているが、原発をめぐる論議は、曖昧模糊(あいまいもこ)として未だに定まらない。科学的な議論を経ずに、原発政策を決めるのではなく、正しいデータに基づく冷静な議論を行なうべきと大前研一氏が述べる。 * * * 東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所事故から2年近くが過ぎた。しかし、日本の原発政策は未だに足元がふらついて定まっていない。 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は、日本原子力発電・敦賀原発、東北電力・東通原発、関西電力・大飯原発で活断層の調査を行ない、各原発の再稼働否定や停止を模索している。一方、安倍晋三首相は3年間で全原発の再稼働を判断するとしつつ、新増設を認める可能性に言及して「2030年代の原発稼働ゼロ」という政策を見直す考えを示している。 この、原発をめぐる曖昧模糊とした論議は、日本という国と