神戸市兵庫区の14階建てマンションで8月、小学5年生の男児が11階から転落しそうになった。力をあわせて救出したのは、住人のおじいちゃん3人だった。 ドン、ドン、ドン。8月9日午後2時ごろ、10階の古川潤一郎さん(83)は玄関ドアをたたく音で外に出た。目に飛び込んできたのは、上の11階からバンザイをした状態でぶら下がる男児の姿。高さ約30メートル。別の住人が異変を知らせた。 11階では男児の両腕を柵の下の隙間から友だち2人が必死で引っ張っていた。だが、限界に近い……。 古川さんは自室にあった登山用ロープを持ち出すと、目の前にぶら下がる男児の両足首に結び付け、もう一方の端を柱に固定した。同じ10階に暮らす魏三鎖(ぎさんさ)さん(73)も駆け付け、男児の足を下から支えた。 「落ちる」「死んでしまう」と男児が悲鳴を上げ、「手を離すな」と友だちらが叫んでいた。12階の山際正博さん(69)も騒ぎに気づ