(2012年5月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日本の政治家たちは先月、小泉政権時代の郵政民営化計画を骨抜きにした。世界第3位の経済大国を復活させるビジョンの1つをきっぱり否定した格好だが、残念なことに、これといった代替策は提示していない。 長期の経済成長率を押し上げることは政策上の優先課題だ。これは小泉純一郎氏が首相として郵政改革を押し通した2005年当時においても同様だった。 ところが、2006年に退任した小泉氏の後を継いだ首相たちは目を見張るような施策を打ち出していない。巨大な銀行・保険事業を持つ日本郵政グループの国家支配を打ち破ろうという小泉氏の構想に比べれば、足元にも及ばないものばかりだ。 手をこまぬいて見ていたわけではない。かつて強い勢力を誇った経済産業省の官僚たちは、エネルギー関連技術や環境保護、医療といった潜在力の高いセクターに資源を振り向けて「縮小均衡とジリ貧」