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2014年6月4日のブックマーク (8件)

  • ネアンデルタール人集団内の変異

    ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と分類されている集団内の変異の見直しについて、2014年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(Minetz., 2014)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P186)。この報告は、じゅうらいの後部頭蓋比較分析では全ネアンデルタール人が単一集団にまとめられる傾向にあったとして、身体比の分析を通じてその見直しを提言しています。そのためこの報告は、ヨーロッパのネアンデルタール人と南西アジアのネアンデルタール人を、異なる時間的・地理的・遺伝的歴史を有する集団として区分してその内部変異を検証するとともに、現生人類(ホモ=サピエンス)集団との比較も試みています。 その結果、ヨーロッパのネアンデルタール人は一貫して現生人類の範囲に収まらなかったものの、南西アジアのネアンデルタール人はしばしば現生人類の範囲に収まりました。そのた

  • ゲノム・頭蓋データの検証による現生人類の複数回出アフリカ説

    ゲノム・頭蓋データの検証により、現生人類(ホモ=サピエンス)の出アフリカに関する有力説を見直した研究(Reyes-Centeno et al., 2014)が報道されました。現生人類の起源に関して現在では、20万~10万年前頃のサハラ砂漠以南のアフリカにある、というのがおおむね共通認識になっています(現生人類アフリカ単一起源説)。 現生人類の出アフリカについては、回数(単一の出来事だったのか、それとも複数回あったのか)・時期(早ければ10万年以上前、遅ければ5万年前頃までに)・経路(ナイル川沿いに北上してアラビア半島北端を横断してユーラシアへと進出したのか、それともアラビア半島南岸沿いにユーラシアへと拡散したのか)をめぐって議論が続いています。 現在の有力説は、現生人類の出アフリカはアラビア半島南岸沿いの1回のみだった、というものだと言ってよいでしょう。その根拠は、現代人集団においては、サ

  • ネアンデルタール人の絶滅要因の考古学的検証

    ネアンデルタール人の絶滅要因を考古学的に検証した研究(Villa, and Roebroeks., 2014)が報道されました。この研究は、ネアンデルタール人と同時代の現生人類(ホモ=サピエンス、解剖学的現代人)とが、遺伝子型・表現型の双方で異なっていることを前提としつつ、これまでに主張されてきたおもなネアンデルタール人の絶滅要因を考古学的に検証しています。この研究は、これまでに主張されてきたネアンデルタール人の絶滅要因を以下の11仮説にまとめており、これまでの研究を概観するのに有益だと思います。 (1)現生人類が「複雑な象徴的意思伝達システム」を「じゅうぶんに」持っていたのにたいして、ネアンデルタール人はそうではありませんでした。 (2)ネアンデルタール人の技術革新能力は現生人類と比較して限定的でした。 (3)ネアンデルタール人の狩猟は現生人類よりも効率的ではありませんでした。 (4)ネ

  • 人類における筋力の低下と認知能力の向上の関係

    今日はもう1掲載します。人類の進化において、筋力の低下と認知能力の向上をもたらす脳容量の増大は並行的に進んだのではないか、と主張する研究(Bozek et al., 2014)が報道されました。この研究では、人間・チンパンジー・マカク属のサル・マウスの代謝に関わる遺伝子が比較されました。その結果判明したのは、脳の前頭葉皮質領域と骨格筋の代謝に関わる遺伝子においては、人間の進化が例外的に速い、ということです。 人間の筋力は、チンパンジー・マカク属のサルよりもはっきりと劣ります。これが現代の「便利な環境」に大きく影響された結果なのか否かを調べるため、マカク属のサルに、体を動かす必要がなくストレスに満ち質の悪いものをべるという、現代人のような生活を2ヶ月続けさせたところ、その筋力に大きな衰えはなかったそうです。そのためこの研究は、人間とチンパンジー・マカク属のサルなどとの筋力の違いは、先天的

  • 佐藤宏之「日本列島の成立と狩猟採集の社会」

    2013年11月に刊行された『岩波講座 日歴史  第1巻 原始・古代1』(岩波書店)所収の論文です(P27~62)。論文の特徴は、地理・自然環境を重視していることです。論文は、日列島の考古学的時代区分ではおおむね縄文時代早期以降となる完新世以降も扱っていますが、更新世の比重の方が高くなっています。安定した気候の完新世とは異なり、更新世の気候は変動が激しく、現在とはかなり異なっていました。そのため、更新世の日列島の地形(気温により海水面が上下するため)・植物相・動物相は、現在の日列島のそれらとは異なっていました。この違いが、生業さらには社会構造にも大きな影響を与えていただろう、というのが書を貫く基調となっています。 論文は、日列島を北海道州・四国・九州と琉球諸島とに区分しています。更新世の寒冷期には、北海道はアジア大陸ともつながっており、州・四国・九州は陸化していた瀬

  • 池谷和信「熱帯地域における狩猟採集民の移動の特徴」『人類の移動誌』第2章「アフリカからアジアへ」第2

    印東道子編『人類の移動誌』初版第2刷(関連記事)所収の論文です。論文は、アフリカの熱帯雨林地域と砂漠地域の狩猟採集民の事例から、狩猟採集民の移動の特徴をモデル化しています。論文は、人類史の99%以上は狩猟採集の時代だった、と指摘しています。しかし、論文で取り上げられているアフリカの熱帯雨林地域の狩猟採集民の事例からも明らかなように、現代の狩猟採集民の中には農耕民と密接な関係を築いている集団も多く、農耕開始前の狩猟採集民の行動の特徴を推測するのは容易ではありません。 論文は、狩猟採集民の移動の基単位は家族だとし、家族の集合たるバンド単位による移動を、アフリカの狩猟採集民の事例から、遊動型・半定住型・定着型の3類型に区分しています。遊動型の移動先は植物資源の分布に大きく左右されるのですが、家族単位での移動では、メンバー間の軋轢や婚姻などの社会的要因が大きく影響する、とのことです。半定

    El_Fire
    El_Fire 2014/06/04
  • とある省庁の公式ロゴがヒドい : NewsACT

    2013年10月26日12:00 とある省庁の公式ロゴがヒドい カテゴリ▶ ニュース インターネット mixiチェック 当ブログはアフィリエイト広告を利用しています 日のとある行政機関の公式サイトのロゴが、なんの意図をもってそんなデザインになったのか、とても不思議な気持ちになりました。 このスクリーンショット、いったいどの省庁の公式サイトかわかりますか? まあトップページに表示されている内容からおおよそ想像がつくと思いますが。 きっかけは私がTwitterでフォローしているユーザーさんのつぶやきがキッカケ。 「農林水産省のフォント、いつも不安になる。」という言葉と、農林水産省のトップページのアドレスが書かれているそのつぶやきを見て、そりゃあクリックもしたくなります。 ええ、つまり最初のスクリーンショットは農林水産省のものです。 モザイクを外してみましょう。 どうですか? アップにしてみま

    とある省庁の公式ロゴがヒドい : NewsACT
    El_Fire
    El_Fire 2014/06/04
    日本の農林水産業は傾きつつあることを示しているんだよ。
  • ナショナリズムを考える基本としての四類型と日本の単文化主義 | Kousyoublog

    アーネスト・ゲルナー著「民族とナショナリズム」 「ナショナリズムとは、第一義的には、政治的な単位と民族的な単位とが一致しなければならないと主張する一つの政治的な原理である。」(P1) 「端的に言って、ナショナリズムとは、エスニックな境界線が政治的な境界線を分断してはならないと要求する政治的正統性の理論であり、なかんずく、ある所与の国家内部にあるエスニックな境界線によって――これは原理を一般的に定義したときに、正式にはすでに排除された偶発的なケースではあるが――権力の握るものが他の人々から切り離されてはならないと要求するそれである。(P2)塩川伸明著「民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)」(P22-26)によると、以上のアーネスト・ゲルナーによるナショナリズムについての定義を前提として政治的単位=国家の領域と民族的な範囲=ある民族の分布範囲の空間的な大小関係を基準とした場

    ナショナリズムを考える基本としての四類型と日本の単文化主義 | Kousyoublog
    El_Fire
    El_Fire 2014/06/04
    “集団”