貯蔵庫は思考の場所 アイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ。これらが世界の5大ウイスキーと呼ばれている。ということを知らされると、いつのまに日本のウイスキーがそんなに評価を受けるようになったのか、と一昔前のことを知る世代には驚きの声があがるだろう。 それどころか、本書の著者は、もはやウイスキーは日本の酒である、と言うのである。 80年以上前に日本で初めてウイスキーが誕生して以来、その味と香りが、日本の風土特有の世界を持ち、なおかつ他の地域でも普遍的な評価を受けるようになった、ということ。この数年、本場のスコットランドでも日本のウイスキーは毎年、最高賞を受賞し続けているのである。 いや、実際、美味(うま)くなったのだ。ウイスキーを「洋酒」と呼んだ時代は、はるか彼方(かなた)になった。 1980年代初期、サントリー「オールド」は年間1億4800万本を販売し、全盛を極めて