今年の4月、安倍総理が育児休業期間を3年に延長する方針を表明した。少子高齢化に伴う労働力人口の減少に歯止めをかけることが狙いだが、背景には、一向に解消に向かわない保育所の待機児童問題がある。確かに、幼い子供を保育所に預けて働くことができない場合、仕事への復帰を保証する育児休業制度は、女性の雇用にとってプラスの側面を持つ。一方で、育児休業は、その間に専門知識や技術が失われるというマイナス面も持っている。これら以外にも、育児休業3年化は、女性の就業にプラスに働く要素とマイナスに働く要素のどちらも含んでいるため、最終的にどのような効果が現れるのか、理論的な議論だけでは決着がつかない。この記事では、データと実証分析に基づいた政策論を進めてみよう。 筆者が現在進めている研究では、これまでの育児休業制度が女性の雇用に与えた影響を評価すると同時に、「育児休業3年」が実際に導入された場合に、女性の雇用に起