―― 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか? 国民生活白書によれば、95年以降、 大卒新入社員の3年以内の離職率は35%前後に達する。 この割合はバブル期前後に比べ、約10%も高い。 本書は、そうして会社を辞めていった若者たちの人生を追う。 彼・彼女らの人生は、多様性に富んだドラマでちりばめられており、 読み応えがある。 もちろん、新卒社員の離職率の上昇という社会全体での大きな変化は 単なる若者気質といった理由だけでは片付けられず、 日本経済の基礎的な状況が「昭和」の時代とは異なることが 原因と考えるべきだろう。 もはや日本は、これまでのような年功序列を基本とした雇用制度を 国全体で支える事はできなくなったのだ。 大きな理由は二つある。 一つは、人口構造の変化である。 年功序列制度は、従業員の年齢構成がピラミッド型に なっていることを前提に維持可能なものであった。 つまり、この仕組みはねずみ