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ブックマーク / charis.hatenadiary.com (4)

  • ミリカン『意味と目的の世界』(3) - charisの美学日誌

    [読書] ルース・ミリカン『意味と目的の世界』(信原幸弘訳、勁草書房、07年1月刊) (図は、ミツバチの8の字ダンス。蜜が遠いところにある場合のダンス。中央の蛇行部分の線が太陽との間に作る角度によって、蜜の在り処の方向を示し、一巡に要する時間が蜜までの距離を示す。) ミリカンによれば、記号(=表象)の起源は、「生物が、自己の生存に適する行動を指令されるように周囲の環境を知覚する」ことにある。そのような環境の知覚=記号は、それが「いつどこなのか」という時間・空間規定を含むだけでなく、それを知覚する主体が「いつどこにいるか」という時間・空間規定をも含んでいる。これはミツバチのダンスのようなものだけでなく、人間の環境知覚も同様である。たとえば、夕日を浴びる東京タワーが見えているならば、東京タワーという表象(記号)は、「何時ごろである今、東京タワーは、周囲の環境の中のこの場所にある」という表象(記

    ミリカン『意味と目的の世界』(3) - charisの美学日誌
    RanTairyu
    RanTairyu 2007/06/07
  • ミリカン『意味と目的の世界』(1) - charisの美学日誌

    [読書] ルース・ミリカン『意味と目的の世界』(信原幸弘訳、勁草書房、'07年1月刊) (写真は著者近影。コネティカット大学名誉教授。) 非常に興味深いだったのでコメントしたい。バクテリアから人間の意識に至る進化の過程を、「表象」という一貫した構図で捉える実に雄大な構想だ。書のポイントは、自然主義の記号論にあり、人間の言語をモデルに記号を考える従来の発想に対して、著者は、原始的な生物もまた記号を用いて生命活動を営んでいると考える。たとえば、ある種のバクテリアは酸素の多い海水が苦手なので、細胞内の磁石が示すN極の方向へ動くことによって、酸素の少ない深い海へ移動できる。この場合、磁石のN極の方向と、酸素の少ない海水とは、因果関係で繋がっているわけではないので、この磁石は酸素の少ない海水のありかを「表象する(表現する、指示する)」原始的な自然記号として機能している(p61)。我々は人間のいな

    ミリカン『意味と目的の世界』(1) - charisの美学日誌
    RanTairyu
    RanTairyu 2007/06/05
  • ミリカン『意味と目的の世界』(2) - charisの美学日誌

    [読書] ルース・ミリカン『意味と目的の世界』(信原幸弘訳、勁草書房、07年1月刊) (写真は、原書Varieties of Meaning,2004の表紙。ミリカン自身の顔写真が使われている。顔写真の表象性は書の主題とも直結しており、この顔をルース・ミリカンと知らない人は、「年配の女性の顔」という一般的な情報しかそこに見て取れない。) [承前] では、ミリカンの記号論では、写真はどのような「表象」や「記号」であるのか? 写真ではない普通の実物知覚と対比すると分かりやすい。私が何かを「見る」とき、私の網膜像には、私自身と外界との時空的関係という情報が表現(表象)されている。私は「今ここにいる」から、眼を開ければ世界に一つしかない”この光景”が見えるわけで、何月何日何時何分に私の眼は地球のどこそこに存在するという情報を担う記号が、私の網膜像である。そしてこの意味で、私の網膜像のパターンは、

    ミリカン『意味と目的の世界』(2) - charisの美学日誌
    RanTairyu
    RanTairyu 2007/06/05
  • 土井隆義『個性を煽られる子どもたち』 - charisの美学日誌

    [読書]土井隆義 『個性を煽られる子どもたち』 (2004年9月刊、岩波ブックレット) (挿絵は、ラ・トゥールの「マグダラのマリア」。じっと自分を見詰めて「私探し」をしているのだろうか?) [8月末に父を亡くし、少し身辺が忙しかったので更新が遅れました。] 新刊ではないが、優れたなのでコメント。著者は、’60年生まれの社会学者で、筑波大学教授。最近の子供から若者にかけての、「自分らしさ」の意識とコミュニケーション問題を分析。70頁のブックレットだが、中身は濃い。ポイントをノートすると、以下のようになる。 「現代の子供たちは、大人も驚くほどの高感度な対人アンテナをつねに張り巡らしており・・・、フィーリングの合う相手とだけ親密な関係を築こうとしている」(p61)。この「親密圏」における人間関係を大切にし、その維持に大きなエネルギーを傾けるので(たとえば、いつもケータイメールで繋がっていないと

    土井隆義『個性を煽られる子どもたち』 - charisの美学日誌
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