『東京迷宮考-種村季弘対談集』(青土社)のなかに、「ラビリンスとしての古本屋」という対談があります。そこで種村さん、池内紀さん、堀切直人さんの3人が古本屋さんについて語っています。 元々この対談は1988年12月号の『東京人』での対談で、「男だけの秘密の隠れ場 ラビリンスとしての古本屋」の改題です。 そこで、池内さんが古本屋の楽しさを語っています。それは古本屋に行く人の心理をズバリ、言い当てています。 <(前略) むしろ古本屋に行くのは、読むか読まないかわからないんだけれども、多分読まないかもしれないし、しかし見つけたら欲しいという、そこが楽しいんですね。読まない本を買うのが本当の読書家です(笑)。それに定価とのゲームがあってね。 「こういう本をこんな値段で。わかっちゃいないんだナ」というので楽しかったりね。あるいは、「サスガだな、いい本にいい値段をつけている」それはまた、それでいいんです