『講座社会学〈1〉理論と方法』に掲載されている佐藤俊樹の「近代を語る視線と文体」のまとめ。 まず著者は、近代化論が現在「解体 deconstruction」に向っていると述べる(p65)。理論系での議論は今も行なわれているものの、実証系研究では近代化論は最早影響力を持ってはいない。「理論と実証の乖離」(p65)こそが「解体 deconstruction」を物語っているのだという。この論考では、何故このような乖離が起こってしまったのかを検証している。著者は近代化をここで以下のように定義している。 (※戦後社会学においては)近代化は「(A)ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの(B)big bang」として、すなわち(A)共同体性の優位する社会形態から個人性の優位する社会形態へ、(B)社会の主要な制度領域で同時的に変化がおきると考えられている。これを以下、古典的近代化モデルとよぶことにしよう。