→紀伊國屋書店で購入 「共同体形成の稀有な実験」 アメリカという国はユニークな国だ。訳者は一組ずつの動物を選びだして乗せたノアの箱船をイメージしているが、アメリカに移民として訪れた人は、だれもが希望してもとのアイデンティティを放棄して、アメリカ市民となることを選んだという意味では、箱船というよりも、たとえば地球を離れて別の惑星に移住する宇宙船のようなイメージがふさわしいだろう。あるいは最近話題のアメリカのテレビ・ドラマ「ロスト」のように、大海の孤島に落下して航空機の乗客の生存者たちのように、運命によってランダムに「選ばれた」人々の共同体も別の意味でアメリカに近いかもしれない。 宇宙船であれば、同じ船に乗り込んだという共通の意志のもとで一つの共同体が形成される。離島であれば、同じ航空機の乗員であったという運命によって、ゆるやかでも一つの共同体が新たに形成されることになる。国家がこうした共通の