(英エコノミスト誌 2010年4月24日号) 経済危機は「企業は株主、顧客、従業員のいずれを最も重視すべきか」という古い議論を再燃させた。 「ジャック・ウェルチ資本主義」の時代は終焉に近づいているのかもしれない――。英国産業連盟(CBI)会長のリチャード・ランバート氏は先月行ったスピーチの中でこう予測した。 米ゼネラル・エレクトリック(GE)を率いていた頃、「ニュートロン・ジャック(すぐに従業員を解雇することから中性子爆弾になぞらえてつけられたあだ名)」は、企業の唯一の目的は株主還元の最大化であるべきだという理念の権化と目されていた。 そうした考えは過去25年間にわたって米国企業を支配し、世界中に急速に広まっていった。ところが、そこへ金融危機が勃発し、その見識が疑問視されるようになった。実際、ウェルチ氏さえもが疑念を呈し、昨年、「一見して、株主価値は世界一愚かな考えだ」と言った。 ハーバー