新興国の株式市場は、2008年に売りを浴びせられた。2009年は一転して記録的な資金流入があり、この流れは続くように見えた。 投資家心理が反転した背景には、確かに一部の新興国は経済危機によって深刻な打撃を受けたものの、全体として見れば、予想されたほどひどい状況にはならなかったことがある。 だが、2009年下半期に見られた新興国市場に対する新たな投資意欲は、疑問の余地がある「デカップリング理論」の復活に駆り立てられた面もある。こ れは、新興国は先進国の需要への輸出依存から脱却しており、世界の不均衡のことは忘れ去って構わないとする説である。 こうした高揚感は、少なくとも短期的には、全く無意味なものではない。一般的に、2008年にGDP(国内総生産)の7%近くに相当する貿易黒字を計上した中国は、ほかの多くの新興国と同じように、輸出主導型の成長に大きく依存しているという見方があった。 実はそれほど