ほんの数年前、2000年代なかば頃の世界の携帯電話端末市場は、いくつかの端末メーカーがしのぎを削る状況にあった -- 具体的にはノキア(Nokia)、サムスン(Samsung)、LG電子、モトローラ(Motorola)、そしてソニー・エリクソン(Sony Ericsson)の5社が覇権を争っていた。これらの先行組("incumbents")は、スマートフォンやフィーチャーフォン、ベーシックな携帯電話機など、さまざまな製品を取り揃えていた。またネットワーク通信機器も手掛け、顧客である携帯通信事業者と深く付き合うメーカーも多かった。 そのいっぽう、スマートフォンだけを提供する新規参入組("Entrants")もいた。これらの企業はちょっと風変わりな連中だった。HTCは当時「ODM」(Original Design Manufacturer)として名の通った会社だった -- 同社のような委託製造