(2010年1月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ここ数カ月、格付け会社ムーディーズの最も聡明な面々が非常に興味深い問題について思案してきた。政府が国債のデフォルト(債務不履行)に陥る可能性があるかどうかを判断する際に、ソブリン債の指標に「社会的結束(social cohesion)」という正式な格付けを導入すべきかどうか、という問題である。 何らかのモデルに特定の「結束」の数字を組み込むことは非常に難しく、これまでのところムーディーズもほかの格付け会社も実際にはこうした格付けは行っていない。しかしこの議論は、今後10年間にわたって国債市場を覆うであろう基本的な問題を指摘している。 数字だけでは把握できなくなった国の信用力 市場は過去数年間、西側諸国の国債に付随するリスクを判断しようとする際、通常は、予想されるGDP(国内総生産)といった信頼できるマクロ経済データを見ることで判断して