医師と患者のコミュニケーションに関するテーマは、今までもいくつか取り上げてきたが、今回はナラティブ・ベイスト・メディスンに注目して、医療の安全を考えてみたい。スペシャリストとして富山大学保健管理センター教授の斎藤清二氏を迎え、なぜ今NBMなのか、実践のポイント、医療の現場にナラティブという視点を導入する意義、について伺った。(取材日;平成16年9月15日) なぜ今NBMか~医師も患者もある意味で報われない時代~ 現代の医学は、いくら良い医療を行なっても、患者さんの満足度がなかなか上がらないというある意味報われない状況にあります。科学的に正しい医療をしたからといって必ずしも患者さんが満足するとは限りません。患者満足度は科学的な正しさとは別のレベル、関係性にも大きな影響を受けるのです。 治療は成功したけれど患者さんは不満である、これでは患者さんも不幸ですが、医療従事者も不幸です。努力が報われて