朝鮮学校には、電車で通ってた。 学校は遠かったけど、電車通学は嫌いじゃなかった。 小学校から電車通学する子供は周囲でも珍しくて、 なんだか自分は特別な事をしてるような、そんな気がしたものだった。 ある日、定期券の期限が迫っていたので、 同じく朝鮮学校に通っていた姉と一緒に、隣駅まで買いに行く事になった。 大人に混じって窓口に並ぶ。 いつも通り在学証明書を出して、通学定期券を申し込んだ。 窓口の駅員が、「君たちに通学定期券は売れない。」と言った。 「朝鮮学校は学校じゃないんだから、普通の料金で買いなさい。」 それまで何度も定期券を買ってきて、そんな事を言われたのは初めてだった。 そう話すと、駅員は続けた。「一体誰のおかげで通学定期券にしてもらえてると思ってるんだ。」 しばらくやりあったが結局、その駅員との会話は諦め、別の駅で買う事になった。 何事も無くスムーズに、通学定期券が発行された。 姉