先週は、ヘイトスピーチと差別表現を考える前提として、差別語・不快語・差別・ポリティカル・コレクトネスの説明をした。 たとえば、安倍首相にむかって「おのれみたいなバカたれの、なにが首相だ!」という言い方は差別表現でもなければ、ヘイトでもない。ただし、相手を罵倒しているのだから、侮辱罪や名誉毀損で訴えられたら、負ける可能性がある。 要は、不快語には、その背景に社会的差別構造がないということ。 前置きはこれくらいにして、具体的に差別表現とヘイトスピーチの違いについて述べていきたい。 2.差別表現とヘイトスピーチ(差別扇動・憎悪扇動) ①差別表現 差別表現とは文脈のなかに差別性(侮辱の意思)が存在している表現で(1)差別語が使用されているか否か、(2)表現内容が事実か否か、とは直接関係しない。 ■なぜ糾弾するのか (1)については、全国水平社創立大会(1922年)の決議第一項が明確に示している。