平安時代末期の翻訳説話集、『唐物語(からものがたり)』の電子テキストを公開しました。 底本は『松平文庫影印叢書第7巻中世説話集編』(松平黎明会編・平成5年8月・新典社)による松平文庫本です。例によって、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承で公開します。 松平文庫本『唐物語』:藤原成範:やたナビTEXT 『唐物語』はその名の通り、『白氏文集』や『蒙求』などの漢籍を翻訳し、歌物語形式にしたものです。当時、漢籍はそのまま読めて当たり前のものだったので、こういう作品はそれほど多く残っていません。有名なところでは『蒙求和歌』・『唐鏡』などがありますが、その中でも『唐物語』は完成度が高く、和文として非常にこなれています。 作者は藤原成範(桜町中納言)であるという説が有力です。 成範は平治の乱で殺された信西の子で、連座して下野国に配流になりまし