僧侶で作家の瀬戸内寂聴さんが去る10月11日、がんの闘病生活を経て1年5カ月ぶりに「青空説法」をしたというニュースを見ました。93歳の寂聴さんが、安保法制に反対する若者を念頭に「若さとは恋と革命よ」と言ったとして、その健在ぶりを称賛する報道もありました。 私を含め、多くの人は寂聴さんのエネルギーに圧倒され、その気力に感服することでしょう。年齢を抜きにしてもあのパワーは尋常じゃありません。病み上がりだというのにその姿を見るだけで、そして「恋と革命」という言葉を聞くだけで明るい気持ちになります。 しかし、この人を語る時にいつもセットになってくるのが、彼女の出家前の「性」の問題です。寂聴さんの代表作は、妻子ある年上の売れない作家との不倫関係と情熱的な年下男性との恋愛関係に苦悩する自らの姿を描いた『夏の終り』(1963年)。私生活を売りものにして名を立てることはもはや珍しくもなんともありませんが、