執筆者 小暮 実 東京農工大学農学部農芸化学科卒。東京都中央区保健所で食品衛生監視員として40年間勤務した後、食品衛生アドバイザーとして活動中。 保健所の現場から見た食品衛生 小暮 実 2021年1月13日 水曜日 キーワード:食中毒 新型コロナ禍で、保健所の重要性が再認識され、組織の維持増強についても検討されはじめている。保健所とはどのような組織なのだろうか。長年勤務した立場から解説する。 【保健所の成り立ち】 保健所は昭和12年に旧保健所法が施行されて誕生し、戦後昭和23年に新保健所法となり、平成6年に母子保健を含めた地域保健法に名称が変更されて今日に至っている。私が勤務した中央区保健所は、旧保健所法が施行される前の昭和10年に「東京市特別衛生地区保健館」として誕生しており、「都市型保健所発祥の地」という歴史のある保健所であった。 【保健所と設置自治体】 保健所は、表1のとおり154自