ヘレン・プラックローズとジェームズ・リンゼイの『「社会正義」はいつも正しい』を読んだ。この本は現代アメリカにおける「社会正義」思想の流行を、フランス思想であるポストモダニズムがアメリカに渡ったことで生じた「応用ポストモダニズム」であると批判し、それに対する処方箋として「リベラリズム」を提示する…という内容である。それだけなら良かったのだが、早川書房が訳者による解説文をいささか炎上商法気味に投稿したこと(およびその解説文の内容)で批判を呼び、かつそれを謝罪したことでまたひと騒動が起きた。 元々、この本のことは邦訳が出る前からネットで見かけて興味を持ってはいたし、著者らの主張とは多少問題意識が重なるところがないでもない(読んだ後だと一緒にされたくないという思いの方が強いが…)ので、ともかく中身を読んでみることにした。 結論から言うと、かなりひどい。巷で噂されているようなヘイト本では辛うじてない